失われゆく仕事の図鑑

永井良和、高野光平ほか、失われゆく仕事の図鑑

シンギュラリティを乗り越えるためには、仕事をどんどん変えていく必要があります。昔の仕事を捨て、新しい仕事を受け入れなければなりません。私の仕事はこんなことじゃなかった、と思いながらも、新しい技術を習得して、客のニーズに答え続けていかなければなりません。

また、生産性革命は常に進行中であり、生産性が向上した分野においては、人の関与が究極的には消滅するということも、理解する必要があります。社会変革を分析するという意味で、それは「社会学」の範疇なのかもしれません。

失われた仕事を研究することは、現在の仕事の行く末を学ぶことになりますし、将来発生する新しい仕事を予期することにも繋がります。時代が変化すると完全に変化する仕事もあれば、時代が変化しても変わらない仕事もあります。手を変え品を変え、提供され続ける仕事、変わらないものは、ズバリ、「エロ」のようです。エロティシズム、ポルノグラフィー、人間の根源的な情動に根差した欲求、リビドーという言葉もありますね。それはちょっと下品な感じもあるのですけれど、根強いニーズに裏打ちされた仕事ということになります。その他、生活に必要な衣食住に関する仕事も、形態は変われど根強く続いています。

興味深いこの図鑑に紹介された仕事を列挙し、現在どうなっているか、矢印で対比させてみたいと思います。

  • 氷屋 → 冷凍庫
  • 踏切番(人力) → モーター自動踏切
  • タイピスト → プリンター
  • バスガール(車掌) → スイカ決済機
  • 雇仲居(やとな) → キャバ嬢
  • 食堂車 → 車内販売
  • 流し(ギター伴奏)→ カラオケ
  • 押し売り → ネット詐欺
  • アイスキャンデー売り → アイス自販機
  • 花売り娘 → フラワーショップ
  • 活動弁士 → youtuber
  • 蕎麦屋の出前持ち → uber eats
  • 紙芝居屋 → youtuber
  • DP屋 → コンビニプリント機
  • サンドイッチマン → VRゲーム内アバター
  • 傷痍軍人 → 感動ポルノ
  • 人力車 → 自動運転タクシー
  • 成人映画館 → AV配信
  • 遣り手婆 → ソープランド、援助交際
  • 傘の修理屋 → ミスターミニット
  • 靴磨き → 合成皮革靴
  • 荒物屋 → ホームセンター、アマゾン
  • 下足番 → 靴ロッカー
  • 押し屋 → テレワーク
  • 菊師 → アーティスト
  • 機織り職人 → 自動織機
  • 炭屋 → エアコン、床暖房
  • キーパンチャー → OCRソフト
  • ダフ屋 → 転売ヤー
  • 貸本屋 → アマゾンキンドル
  • 電話交換手 → LINEアプリ
  • 洋品店 → ユニクロ
  • 卵屋 → コンビニ
  • 味噌屋 → コンビニ
  • ガソリンガール → EV充電器
  • 表具屋 → アーティスト
  • 仏師 → アーティスト
  • 万年筆屋 → スマホ
  • サーカス → TDRキャスト
  • ちんどん屋 → google ads
  • 見世物小屋 → youtuber
  • レコード屋 → 音楽教室
  • 結納屋 → 結婚式場
  • 御用聞き → コンビニ、アマゾン
  • 三助 → ユニットバス
  • 歯入れ屋 → ユニクロ靴
  • 水売り → ミネラルウォーター
  • 賃搗き屋 → 便利屋
  • とうがらし売り → スーパー、コンビニ
  • 配膳さん → ホテル支配人
  • 糸屋 → アマゾン
  • 悉皆屋 → 呉服屋
  • 扇子屋 → 無料配布うちわ
  • 半衿屋 → ユニクロ
  • 縫物屋 → ユニクロ
  • ジュークボックスのレコード配達 → アマゾンミュージック
  • ステッキガール → パパ活
  • うなぎ釣り → ネットゲーム
  • 人間ポンプ → youtuber
  • ちり紙交換 → 自治体回収
  • 蒸気機関士 → 電車運転士
  • 野菜の行商 → コンビニ

今では考えられないような仕事があったものです。上記の本には各職業の様子が写真で紹介されているのですが、当然ながら真剣に仕事をなさっています。それは我々自身の現在の姿と重なるものかもしれません。大真面目に仕事をしていますが、数年後、数十年後には消滅している仕事かもしれないのです。その変化のスピードが加速しているような気が致します。社会全体のデジタル化の波をデジタルトランスフォーメーションDXと言いますが、それが新型コロナウイルス感染症の流行によって加速しているようです。それはコロナウイルストランスフォーメーションCXと呼んでも良いでしょう。テレワークが流行していますが、もう、衣食住の全ての場面において、変革が起き続けていくのでしょう。どこに住むのか、朝起きてから、どこに行って何をするのか、それが全て変わってしまうのです。

株式会社、という制度も、江戸時代には存在していませんでした。それは、一時的な存在かもしれないのです。学校を卒業して株式会社に就職するという概念が消滅するかもしれないのです。


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