AIの衝撃

こちらもAI関連のベストセラー本です。読了しました。AIの歴史から仕組みや方向性まで、広く浅く紹介されています。こういう本は10冊でも20冊でもどんどん読んだ方が良いと思います。重なってる部分もありますが、それぞれの著者の視点で未来の方向性が語られており参考になります。

18世紀の牧師・数学者、トーマスベイズが考案した確率理論、ベイズ推計が、1980年代に、UCLAのジュディア・パールによってAI推論に応用され、ベイジアンネットワークとして発明されたと紹介されていました。この説明を読むだけでも、この本を読む価値が大きいと思いました。そうなのか!ディープラーニングの中に、統計学の手法が使われていたのかと再確認できます。

第三章「日本の全産業がグーグルに支配される日-2045年日本衰退の危機」は衝撃的な内容ですが、是非読むべき内容です。日本は、30年前に、パソコンとインターネット技術の波に乗り遅れたために衰退を招いてしまいましたが、今から30年後に現在を振り返った時、今の「AI」と「次世代ロボット」が、新たな技術革新の萌芽であり、このチャンスも逃してしまえば、エレクトロニクス1分野の衰退ではなく、あらゆる産業の衰退を招いてしまうと警鐘を鳴らしておられます。AIと次世代ロボットは、あらゆる産業の姿を塗り替えてしまうインパクトを持っているからです。グーグルはアンドロイドでスマホOSを掌握したように、ロボット用AI型OSも押さえようとしていると書かれています。この問題に関する感受性を研ぎ澄まして下さい。

たしかに、グーグルが主導するディープラーニングのライブラリ、tensorflow が github 研究コミュニティでは圧倒的なシェアを握っています。星の数がファンの人数を示しています。ディープラーニングを研究したければ、tensorflow を使うのが手っ取り早い状態なんですね。

Screenshot of github.com

 
この表を見て、みなさんは何を感じますか?日本ではロボットを研究する機械工学科の教員や学生は、ロボットを動かすことだけ研究し、数学科の教員や学生は数学だけ研究していますが、欧米では、学科の垣根にとらわれず分野を超えて貪欲に研究開発が行われているそうです。日本の硬直したシステムが足枷になってしまっているのですね。若い学生・研究者は日本の大学や企業に見切りをつけて、アメリカの大学や企業を目指して進学・就職していると言います。AI研究者じゃなくても、そのような視点を持つことがこれから大事になってくるでしょう。


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