縮小ニッポンの衝撃

考える前提として、要約読解を提示します。各自読んでみて下さい。

第1章、東京を蝕む一極集中の未来
民間シンクタンク「日本創成会議」は、消滅可能性都市のリストに東京都の豊島区をリストアップした。豊島区役所では人口データの分析を開始し、2016年時点の人口増加傾向は転入者によって支えられており、出生数から死亡数を差し引いた数値は慢性的に「自然減」の状態に至っていることを発見した。転入者の多数を占める20代単身者の平均年収は241万円であった。転入が多いのも高度成長期のような好景気に伴うものではなく、地方で仕事が無いための「ネガティブ集中」に過ぎないと分かった。単身転入者は、やがて単身高齢者になり、老後を迎えることになる。

第2章、破綻の街の撤退戦1
財政破綻して財政再生団体に指定された北海道夕張市では、限られた予算で行政サービスを維持するために、「政策空屋」が正式に決定された。炭鉱で栄えた地区が急激にゴーストタウン化していく。政策に従って転居して直後に突然死してしまう高齢者も居るという。

第3章、破綻の街の撤退戦2
東京都から派遣職員として夕張市に来た鈴木氏は、任期を延長して2年2ヶ月の派遣を終え東京に戻るとき現地の住人から市長に立候補して下さいと頼まれた。自身の生い立ちで行政が差し伸べてくれた手を大切に感じていた鈴木氏は、これを夕張にも維持したいと考え手取り月給15万8千円になっても立候補することを決意し当選した。できないことだらけの中で、未来のために「夕張高校」の支援を決意した。

第4章、当たり前の公共サービスが受けられない!
島根県では、流出数から流入数を引いた社会減と、死亡数から出生数を引いた自然減がダブルで作用する急激な人口減少社会が進行中である。高齢化率のグラフをみると、島根県は20年後の日本の姿を先取りしていると分かる。そこでは集落が消滅し、行政サービスは「住民組織」に移管され始めている。

第5章、地域社会崩壊 集落が消えていく
地方では、高齢化率50%以上かつ20戸未満の「限界的集落」と、高齢化率70%以上かつ10戸未満の「危機的集落」がどんどん増えている。もはや住民組織の継続も困難な状況が近づいている。ついに、集落を放棄して「集団移転」を提案する研究者も現れた。開かれたシンポジウムでは意外にも肯定意見が多く、「むらおさめ」が視野に入っている現実が浮き彫りにされた。

エピローグ
2025年以降、東京都心でも急速な高齢化を伴った人口減少が始まる。東京圏全域で人口が減少するので、もはや「郊外」という概念は無くなる。東京近郊の横須賀市では「税収の減少」と「社会保障費の増大」という二重苦が現実化している。それは数字の問題だけでなく、「死の一極集中」とも言うべき、孤独死による無縁仏の激増という「看取り」の問題に至っている。簡単な処方箋は見えないが、現実を直視し、一人一人が行政サービスの縮小という痛みを分かち合っていく「撤退戦」を続けるしか無いだろう。

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何とも暗くなるような話ですが、番組を盛り上げるための演出もあると思います。21世紀の子供たちは「撤退戦を楽しむ」という気概も必要だと思います。「もう住居費にお金は掛からない」など、ポジティブ面にも目を向けるべきでしょう。AI革命の果実も総動員すべきでしょう。確実に言えることは、21世紀の子供達にとって、今現在の子供時代の生活と、自分達が大人になった時の生活は根本的に異なるだろうということです。


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