ROA,ER,PER,PBRを復習しよう

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これは高齢者向きの記事になります。

高齢者は仕事を引退して不労所得で生活します。公的年金もありますが、個人年金(個人的な収入)も必要です。個人的に投資して収入を得るのです。高齢の方と話をすると意外に投資の基礎知識が欠けていることが多いですね。フィーリングとか証券会社の電話営業の話で投資先を決めているようです。

これから限界費用ゼロ社会に向けて、ベーシックインカムの時代に向けて、シンギュラリティーの時代に向けて、個人年金の必要性は少しずつ低下していくことになりますが、2019年時点では未だ必要性が残っています。そこで、必要な指標の知識を整理してみたいと思います。もちろん学生さんも将来に備えて学ぶべき知識です。学生が株式投資しても良いのです。

管理人の考える重要な順番に御紹介します。

ROA

Return on Assets 、直訳で、総資産の収益。ROA=当期純利益÷総資産です。総資産というのは、会社が管理する全ての資産です。総資産には、自己資本(株主出資金)と他人資本(借入金)があります。他人資本は返済する必要がある金銭、自己資本は返済する必要が無い金銭です。ROAは会社が金銭(元手)を使ってどれくらいの利益率で収益を上げることができるかという指標になります。Amazonのように会社が次から次へと新規事業への投資を行っている場合は利益率が上がりにくい側面もありますが、それでも、ネットビジネスのように比較的元手が掛からない事業であればROAは高くなる傾向があります。他方、不動産賃貸業のように、賃貸用不動産を取得する必要がある事業の場合は、必然的にROAが低くなることがあります。また、赤字企業や、斜陽産業などでは、ROAが限りなくゼロに近づくことがあります。例えば、ROAが国債利回りを下回った場合には、「会社なんて解散して国債買った方がマシ!」という理屈が成立してしまうことになります。

最新のネット企業で赤字が続いていたり、ROAが5パーセント未満など低すぎる企業は要注意です。ROAが低すぎる場合は企業の実在性に疑問符がつくことになります。本当に儲かる事業であれば黒字を消し切ることは不可能です。新規事業の投資を続けても黒字を出し続けるのが本来の姿と言えます。

一般に、最先端の「イケてる」業界では資本効率が良くなってROAが高くなり、オールドエコノミー斜陽産業ではROAが低くなります。ROAは株価とは一切連動しませんので、株価の割安か割高かを判断することはできませんが、当該会社が「イケてる」「時代の波に乗っている」かどうかを判断する材料になります。従って、事業の先進性を見極めるためにはROAが最も大事な指標になります。あらゆる債券類や不動産投資を超えるために、ROAが10%を超えていることが必要です。

ER

Equity Ratio、直訳で、株式比率、自己資本比率とも言います。ER=自己資本÷総資本です。いわゆる無借金経営の場合は、自己資本比率が100%に近づきます。ただし、自己資本比率が100%の会社はあり得ません。請求書が発行されて翌月末払いで支払ったりしますので、必ず未払い金という項目を生じるからです。上場企業では80%を超えているような会社は無借金経営と呼ばれたりします。石橋を叩いて渡る、堅実な経営です。

国際業務を行う銀行では、国際決済銀行のBIS規制(バーゼル規制)というものがあり、自己資本比率が8%を超えていることが求められています。

自己資本比率の意味だけを考えると「借金が少ない方が、自己資本比率が高い方が良いのではないか」と思われるかも知れませんが、高ければ高いほど良いというものでもありません。自己資本比率が高すぎる場合は、「資本効率が悪い」と批判されたりするのです。儲かる事業があるならば積極的に借り入れをして、会社の利益の最大化に努めるべきであるという批判がなされてしまいます。「攻めの経営」ということですね。しかし、一般的に8%を切る水準になると「警戒水位」と呼ばれたりします。上場企業だと3~4割程度の会社が多くなっています。

PER

price earnings ratio、直訳で価格利益比率、株価収益率とも言います。株価が1株あたり当期純利益の何年分になっているか、ということです。PERの逆数(分子と分母をひっくり返した数値)は株価に対する利益の利回り数値となっています。例えば、100円の株価で1年間に10円の利益を生じる場合は、利益の利回りは10%で、PERは10倍です。これは株価に連動する指標なので、PERが低い方が割安な株式ということになります。日経平均とか、ダウ平均とかに加えて、全ての上場株式の「平均PER」という数値を算出して、バブル経済の進展度合いを測ったりします。じゃあPERが低い割安な株を探して投資すれば良いのか(低PER投資法)、と考える人も居るかも知れませんが、これは原則として失敗する方法です。株価が低く、PERが低いということは、「市場から見放されている」ということですから、市場参加者の多数から「将来性が無い」と判断されている証拠なのです。他方、PERが高すぎる場合は、株価が過熱しているということなので、将来性のある銘柄だとしても一時的な調整を免れない可能性が高いと考えることができます。PERが100倍を超えたら一般的に要注意と言えます。

PBR

price book-value ratio、直訳で価格帳簿価値比率、株価純資産倍率とも言います。book-value というのは、計算帳簿つまり貸借対照表の自己資本=純資産のことです。会社の総資産から、他人資本=借入金などを返済すると、自己資本=純資産が残ります。会社を解散して、清算した場合に、株主に対して「残余財産分配金」を配当する場合には、1株あたりの純資産額が、配当額の目安になってきます。そのため、1株あたりの純資産額は「株式の清算価値」と呼ばれることもあります。実際の清算手続きでは、手続きに費用が掛かるため1株純資産がそのまま配当されるわけではありませんが、株式を売買する場合は、1株純資産がひとつの目安になることは間違い無いのです。J-REIT不動産投資証券の場合は、PBRの代わりに、NAV倍率が使われることが多くなっています。これは、Net Asset Valueの略で、純資産を算出するときに不動産について簿価ではなく時価を用いて算出された倍率です。PBRとほとんど同じですが、純資産の査定が時価になっているということです。PBRもNAV倍率も、低ければ低いほど割安でお買い得ということになりますが、逆に言うと、それは市場からの評価が低いということであり、PBRやNAVが1倍割れの銘柄は市場から「倒産リスクあり」と見なされていることになりますので注意が必要です。


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