トヨタがHV特許23000件を無償開放

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トヨタがハイブリッド自動車の特許23740件の無償提供を発表しました。以前、燃料電池車FCVの技術の特許を無償開放するニュースもありましたが、このときは燃料電池の普及が遅れており、あまり大きな影響は感じられませんでした。しかし、今回は現在の主戦場であるハイブリッド技術と、電動車の技術を全部公開してしまうというニュースなんですね。

これはオープンイノベーションという手法になります。

オープンイノベーションとは?

イノベーションの性質

オープンイノベーションとは、組織内部のイノベーションを促進するために、意図的かつ積極的に内部と外部の技術やアイデアなどの資源の流出入を活用し、その結果組織内で創出したイノベーションを組織外に展開する市場機会を増やすことである。
(Henry W. Chesbrough, 著書『Open Innovation』2003年)

イノベーションを推進するためには、沢山種をまかなきゃいけないから、組織内のクローズドなやり方にこだわらず、広く情報を求めてアイデアや資源を流出入させる必要があるってことですね。イノベーション(新結合、技術革新)を促進するために、全ての情報をオープンにして、技術開発を促進しようということです。

しかし、上記プレスリリースの「トヨタが保有している特許実施権(審査継続中を含む)を無償で提供する」という文言を見て疑問に思いました。審査中のものまで開放しちゃうんですね。それなら特許申請しなければ良かったのでは?

2万3千件の特許を取得するための、特許申請費、特許登録料の総額は莫大な金額になるはずです。それを無償開放してしまうのに、なぜトヨタは特許申請を続けているのでしょう。これはプレスリリースには書いてないですが、もしかしたら、「無償開放するために特許申請している」ということかもしれません。つまり、その特許を他社が取得して独占実施した場合の不都合を回避するために、トヨタが特許取得して無償開放するという作戦なのかもしれないなあと思いました。逆転の発想ですね!

また、今回のニュースは「電動車の技術は、これからの自動車会社の主戦場ではないですよ」、という強烈なメッセージかもしれないと思いました。電動車の技術で稼ぐことはできませんよと宣言しているようにも見えます。トヨタは、もっと先の、別の新しい道を探求していますよ、という決意表明に見えます。それが何なのか、いますぐ分かりません。自動運転車の技術なのか、自動車デザインの価値なのか、分かりません。とにかく、従来の技術でお金儲けすることはできませんよと言っている訳です。

オープンイノベーションの発想は、クルマの技術の問題に限られないと思います。文系理系を問わず、変革の時代に生き残るための仕事改革の新たな手段だと考えられます。


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