自作の小屋で暮らそう-Bライフの愉しみ

田舎の小屋暮らしの実践者である高村友也さんのミニマリスト生活実践マニュアルです。Bライフというのは著者の造語で、必要最低限の生活を確立するベーシックライフということのようです。著者は山梨の郊外の森を68万円で購入し、ホームセンターでツーバイフォーなどの資材を購入して、原付カブで運んで、素人大工作業で10平米未満の小屋を建てて住んじゃいました。ストレス無く1日中寝て過ごせるように、です。建築確認が必要な建築物にならないためのポイントは2つ。

(1)建築面積10平米未満

(2)基礎もライフラインも固定しない

要するに地面に箱を置くという感じです。300W太陽光発電システムで完全オフグリッド生活です。素晴らしいですね!なかなか実践することは難しいはずですが、寝転ばって読書したりすることに対して貪欲なんですね。自分の欲求に正直な生き方です。

Bライフの家計簿

食費1万円
ガソリン200円(原付100km)
カセットガス500円(週1本)
灯油0~1500円(最大1缶)
携帯電話1000円
インターネット1000円(格安SIM)
銭湯1000円(230円×4.5回)
雑費消耗品1000円
健康保険1500円(7割免除)
年金、税金、固定資産税すべてゼロ。
以上合計月額1万7700円

基本的な食費を1万円にして、その他に好きなものを好きな時に買えば良いと書いてあります。一部引用します。

---引用はじめ

コーラが好きだからと言って最初から毎月3000円をコーラ代に計上して生活設計のすべてを考え、必ず毎日コーラが飲めるように自分自身を制御するとなると、コーラに支配されてしまう。そうしていろいろなものに支配されていくと、毎月必要なお金は5万、10万、20万と膨れあがり、不必要な生活水準を維持するためだけに働くことになり、結果、寝転がっていられなくなる。本当にコーラを楽しむためには、毎月1万円で食生活を築いてコーラと対等な立場に立つことが先だ。

---引用おわり

なかなか面白い着眼点です。週に5日8時間以上働いて、世帯平均年収540万円とかを稼いで疲れ果ててしまうのは本末転倒ではないかと著者は仰っておられるわけです。それより自分の欲求に正直に、寝転んで読書したいならそうすれば良いと言うわけですね。衣食住のあらゆる場面における実践マニュアルとなっていますので、日本でミニマリズムを取り入れてみたいと考える場合には参考になる本だと思います。現代社会の大量生産システムを利用すれば「月1万円の食費があれば生命史上稀に見る高水準の食事が摂れる」と看破しておられます。著者の「スモールハウス」という本には次のような言葉もありました。

「世の中いくら便利になっても、それによって節約された時間や体力は、再び競争と労働へと費やされているように見える。だったら、最初から何もしないで、歌でも歌っていたほうがいいんじゃないかと、そう思う。」

ミニマリストの気付き

著者も書いているのですが、この本の単行本が2011年に刊行され、2017年に文庫本が刊行されるのですが、その約6年間の間に、太陽光発電パネルの価格が低下し、ネット接続料金も劇的に低下したということです。勿論これは生産性革命、ムーアの法則の影響で下がっているわけです。生産性はどんどん上がります。上がり続けています。気が付けば「既に働く必要が無い程に」効率化が完成しているということです。ミニマリストと呼ばれる方々はそのことにいち早く気付いた人々なのかもしれません。

ミニマリストの古典も御紹介しておきます。日本なら鴨長明の「方丈記」、アメリカならヘンリー・ソローの「森の生活」です。方丈記の「方丈」は3m四方(9平米)という意味だそうです。上記の建築確認不要な10平米未満とぴったり一致しています。

※参考書籍

小さな家の思想、方丈記を建築で読み解く

※参考記事

bobos

森の生活


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