簿外債務(飛ばし行為)

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投資するときに当該会社のバランスシートと損益計算書、いわゆるBS/PLを見るのですが、普通に黒字で負債も多くないように見える場合でも、注意しなければならないのが「簿外債務」です。会社が損失(不良債権、含み損資産)を抱えてしまった場合に、これを簿価でペーパーカンパニーに売却して、不良資産を洗浄(ロンダリング)することを、「飛ばし行為」と言います。損失を外部に「飛ばす」ということです。

簿外債務で最も有名なのが、「エンロン事件」です。最大時価総額5兆円が消滅したという事件です。

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日本だと、「山一証券」でしょうか。

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こういうことはなかなか学校では教えてくれないことですが、大学の経済学部とか経営学部で「経済史」の授業なんかを取りますと教えてくれる先生も居ます。大多数の学生はこれを学ばずに社会に出てしまいます。

簿外債務があるかどうかは、当該会社のBSPLを見ても分かりません。何しろ不良資産が飛ばされちゃって跡形もなく消滅してしまっているのです。じゃあどうやって調べるのか。

(1)一応自己資本比率を見る。経営者も人間なので、全ての損失を飛ばすことはできず、一部は借金で賄おうとします。そうすると自己資本比率がどんどん下がって行くことになります。一般論ですが10パーセントを切ると心配になりますね。

(2)一応総資本利益率ROAを見る。なぜ簿外債務が必要かと言えば、儲からないから損失を飛ばす必要があるのです。なぜ儲からないかと言えば、ビジネスモデルが成立していないからです。当該会社の商売が、古い商売になってしまって淘汰されつつある業界ではないのか、ということです。一般論ですがROAで5パーセントを切る業界は構造不況の可能性があります。

(3)一応キャッシュフロー計算書(Cash flow statement,CF)を見る。現金の残高がギリギリの場合、現金がどんどん減っている場合は要注意です。

(4)仕事内容を見る。地に足が付いた「実業」か、それとも虚飾に満ちた「虚業」か、見極める。株主通信などで収入を説明する文章の「意味が分からない」場合は要注意です。本当に儲かってる会社の説明は分かりやすいことが多いです。実際に仕事の現場に足を運んで観察する努力も必要です。勿論IT系企業の収益構造を理解するために、先端テクノロジーについて必死に勉強し続ける必要があります。

(5)他の会社のBSPLを見る。同じ業界の他の会社の動向を観察します。業界全体として不景気な場合は、簿外債務のリスクが高まると言えます。

(6)世界全体の景気動向を見る。imfとかoecdのHPで世界景気の動向指数をみて下さい。昇り坂か下り坂か分かります。下り坂の時代には簿外債務が発生しやすいものです。


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