循環取引

Screenshot of ja.wikipedia.org

循環取引とは、予め通謀した2社の間で一つの商品が行ったり来たりする(循環する)相互発注取引を繰り返すことにより、売上高や経費を水増しする粉飾決算の手法です。片方の会社から見て、売却価格を仕入れ価格よりも高くする取引を循環させれば架空売上になり、仕入れ価格を売却価格よりも高くする取引を循環させれば架空経費になります。架空売上は株価のつり上げや、融資金の詐取に使われ、架空経費は脱税の目的や、株主への配当逃れ目的で行われます。循環取引する2社の決算期をずらすことにより、「2社のBSPLに永久に利益や損失を計上しないこと」も理屈上可能です(その代わり循環額が雪だるま式に増えていきます)。2社間の循環取引の他、3社間で行う循環取引や、4社以上で商品をぐるぐるまわす循環取引もあります。全て発覚を防ごうとする悪知恵の作戦です。

架空取引を循環させずに、利益や損失を関連会社に一方通行で移動させる手法もあります。この場合は、「利益付け替え」、「利益飛ばし」などと呼ばれます。

これもなかなか学校では教えて貰えない知識です。最初にこの手口を聞いたときは「悪いことを考えるヤツが居るものだ!」と驚きましたが、正常な取引の形態を取っている場合はなかなか取り締まることは難しいなと感じました。会社が商品を売買することは当たり前だからです。当たり前の売買に実体が無いことを誰がどうやって証明できるんだろう、と電車の中で1時間ほど考え込んでしまいました。

つまり、会社の経営者にとって、売上を立てることは自由自在ですし、経費を立てることも自由自在ということです。だから、利益を増やすのも自由自在ですし、損失を増やすのも自由自在です。増やすのも減らすのも自由自在なのです。BSPLを見るときはこのことを肝に銘じて見る必要があります。

株を買う場合でも、投資信託を購入する場合でも、就職する場合でも、(不動産など)大きな契約をする場合でも、全て相手会社のBSPLを熟読しなければなりませんが、その時に、循環取引的な要素は無いかどうか、良く検討する必要があります。簿外債務の記事で書いたとおり、当該会社のBSPL以外の書類や状況に目を向ける必要があります。

※参考ニュース(循環取引のニュース検索)

https://www.google.com/search?q=循環取引&tbm=nws

※参考書籍

霞 晴久他、新版 架空循環取引 法律・会計・税務の実務対応

※参考記事

簿外債務(飛ばし行為)


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ:

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です