東大TSMC提携から未来を読め!

Screenshot of www.u-tokyo.ac.jp

東大と世界1位の半導体製造会社TSMCが提携したというニュースを見て、何を感じますか?東大のメリット、TSMCのメリットは何だと思いますか?

https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400127684.pdf

こちらの文書から引用してみましょう。

---引用はじめ

このアライアンスの背景には、以下に述べるような社会と経済産業の変化があります。

世界は、人間中心の超スマート社会 Society5.0を目指しています。そこでは、サービスが価値の中心となります。サービス創出の鍵となるのが、フィジカル空間とサイバー空間をシームレスに繋ぐデータの活用です。すなわち、フィジカル空間からアナログデータを IoTデバイスでリアルタイムに収集してサイバー空間のデジタルデータに変換し、5Gなどの情報通信ネットワークを用いて「信頼性のある自由なデータ流通」を遅延なく行い、AI で高度な分析を加えて、自動運転などのスマートなサービスを創出する、といったデータ駆動型システムが求められます。

ここでデータ駆動型システムの性能と信頼性を決定付けるのは、半導体チップです。これまでの資本集約型社会では、応用が広くて量産効果の出る汎用チップが主流でした。しかし、汎用チップで高度な AI 処理や暗号処理を行うと大きなエネルギーを消費します。知識集約型社会となり、データが爆発的に増加してサービスの質と信頼性への要求が高まる中で、エッジとクラウドのいずれにおいても省エネが最重要課題です。エネルギー制約の下で、エネルギー効率を高めることが処理性能とセキュリティを向上させる唯一の方法だからです。

---引用おわり

人間中心の超スマート社会 Society5.0というのは、次のように説明されています。

---引用はじめ

サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)のこと。狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱された。Society5.0 を実現するためには、資本集約型社会から知識集約型社会へとパラダイムシフトを起こす必要がある。資本集約型社会では製品が価値の中心だったが、知識集約型社会ではサービスが価値の中心となる。

---引用おわり

なるほど、1が狩猟採集民で、2が農耕民、3が産業革命で、4が半導体インターネット革命、5がAI革命というわけです。

Society5.0のキーワードは、AIと5Gということのようです。そのために「データ駆動型」専用AIプロセッサが必要になっているという問題意識を、TSMCと東大が共通認識として持っていると言うことなんですね。

データ駆動型というのは、「ノイマン型」とは異なるという意味です。ノイマン型というのは、ひとつひとつの命令を順番に処理していくことにより、様々な計算を実現するコンピューターのアルゴリズムで、ハンガリー出身の数学者フォン・ノイマンが発明したストアードプログラム方式の計算機械のことです。これに対して「非ノイマン型」というのは、人間の脳と同じで、データ入力に対して計算処理が開始される方式です。DNNディープラーニングニューラルネットワークなどが一例です。

Screenshot of ja.wikipedia.org

DNNでは、「プログラム」はありません。機械学習済みのデータセット(ニューラルネットワーク)があるだけです。それでも、画像認識や音声認識など、人間を凌駕するような様々な情報処理を正確に行うことができます。これをやるには、数十コアの従来型CPUではなくて、数百コア以上の専用プロセッサが良いのです。

現在使われている主なニューラルネットワーク処理ボード

Nvidia Jetson nano

Screenshot of www.nvidia.com

google coral dev board

Screenshot of coral.ai

Sipeed Maix go

Screenshot of wiki.sipeed.com

こういうものを加速させようとしているわけです。そして、それが加速され、実用化が進展した場合に、我々の生活がどうなるか、それを考え続けましょう。

 


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