キャッシュレス戦争

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https://ja.wikipedia.org/wiki/キャッシュレス社会

いま、世界中で急速にキャッシュレス化の波が来ています。キャッシュレス決済の覇権を握るために、世界中の企業が凌ぎを削っています。各国政府も後援しています。

クレジットカード方式(磁気カード、ICカード)・・・これは20世紀から使われてきた伝統的なVISAカード、アメリカンエクスプレスなどの磁気カードの発展形です。カード表面に金メッキ端子を持つICカードが主流になり、NFC非接触タッチ決済のRFIDカードも増えてきました。

NFC方式・・・日本ではソニーのFelica技術がSuica,PASMOなどの交通系ICカードやQuickPayに応用されています。カードの中に電磁誘導コイルが設置され、ワイヤレス充電器と同じように電磁誘導でカードに電力を送り、カードの中でマイコンが起動し電波通信により、RFID識別情報をサーバーに送信して残高を確認して差し引きする方式です。NFCカードの他、キーホルダーのようなドングルタイプもあります。

QR・バーコード方式・・・スマホに二次元バーコードを表示し、それを画像認識してサーバーの残高を差し引きする方式です。表示される二次元コードは、ワンタイムパスワードをデータ化したものになりますから、セキュリティ的にはネットバンキングのワンタイムパスワード入力方式と同等レベルを期待することができます。ユーザーはスマホを所持する必要があります。

生体認証方式(biometrics)・・・イオン銀行の二要素生体認証キャッシングサービスのように、生体認証のみでキャッシュカードも暗証番号も不要な決済方式(手ぶら取引)が試行されましたが、セキュリティと利便性の両立が難しいようで、2020年7月末で一旦サービス終了とアナウンスされています。中国ではアリペイの顔認証決済 Smile to pay が実用化されています。いわば顔パス方式です。生体検知アルゴリズムが併用され顔写真を使ったハッキングも防止されています。

日本でも、ダイドードリンコとNECが顔パス自動販売機の試験を開始しています。顔認証と音声認識技術を組み合わせると、「こんにちは自販機くん、アイスコーヒー頂戴な!」などと会話が出来てしまうことになります。こちらは暗証番号が併用されています。

このような便利な決済サービスが普及すれば、現金のやりとりやおつりの計算などはやっていられないということになります。キャッシュレス決済で引き落とされる資金はキャッシュレス口座の預金残高ですが、これは国内法定通貨に限られません。外国通貨でも良いですし、企業ごとのポイントでも良いですし、証券口座のETFでも良いですし、暗号通貨(デジタル通貨、仮想通貨)でも構わないわけです。

つまり、キャッシュレス戦争は、通貨(決済資産)の戦争でもあるわけです。キャッシュレス決済方式の効率や利便性が競争されているのと同時に、通貨(決済資産)も効率や利便性や安全性が競争されているのです。20世紀まで、通貨の競争は、軍事力や経済力の背景を必要としてきましたが、21世紀のブロックチェーンの時代になると、軍事力や発行主体の経済力は関係無くなりつつあります。決済資産の闘いは理念の闘いになりつつあるのです。先進国の中央銀行が無制限QE(量的緩和策)を行って信用を下げているのに対し、BTCなどデジタル暗号通貨には発行上限が決まっているものもあります。

https://en.wikipedia.org/wiki/Money_supply

https://www.coinbase.com/price

アメリカの2013年のマネーサプライM2は、10.5兆ドルでした。1ドル110円換算で、1155兆円ということになります。BTCの時価総額は2020年7月に18兆円になっています。単純比較はできませんが、今は暗号通貨は法定通貨の100分の1の規模になっています。逆に言えば1パーセント前後までは成長してきているということです。

キャッシュレス戦争、通貨戦争に、生産性革命がもたらす21世紀型のデフレも作用します。限界費用ゼロ社会の到来により産物の価格がゼロになった場合は決済自体が不要になってしまいます。キャッシュレスどころか、決済レスというわけです。フリーランチですね。

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20世紀のフリーランチは顧客を呼び寄せるための営業手段でしたが、21世紀のフリーランチは本当に無料ということになります。信じ難いことですが、100円ショップ、1ドルショップの品揃えだって数十年前には信じられないほどの豊富さに至っています。


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