2021年9月7日、中米の小国エルサルバドルで、ビットコイン法(スペイン語で ley bitcoin, 英語で bitcoin law )が施行されます。世界で初めて、ビットコインが法定通貨になった日なのです。
エルサルバドルは、2.1万平方キロメートルと四国より少し広い国土に約600万人の人口があります。ちなみに四国の人口は380万人だそうです。
※ビットコイン法(エルサルバドル議会HP)
しかしこれスペイン語なんですよね。機械翻訳の助けを借りて条文を御紹介してみましょう。
ビットコイン法
第1章 一般的な規定
第1条 この法律の目的は、ビットコインを法定通貨として規制することであり、自然人や法人、公人や私人が必要とするあらゆる取引やあらゆる能力において、無制限の自由な力を持つものです。
なお、上記は通貨統合法の適用を妨げるものではありません。
第2条 ビットコインと米国ドル(以下、米ドル)との交換レートは、市場で自由に設定されます。
第3条 すべての価格はビットコインで表すことができます。
第4条 すべての税金・負担金はビットコインで支払うことができます。
第5条 ビットコインでの交換は、法定通貨と同様にキャピタルゲイン課税の対象とはなりません。
第6条 会計上は、ドルを基準通貨として使用する。
第7条 すべての経済主体は、商品やサービスの購入者から申し出があった場合、ビットコインを支払いの手段として受け入れなければなりません。
第8条 民間企業の行動を害することなく、国は、ユーザーがビットコイン取引を行うことができる代替手段を提供するとともに、希望に応じて、自動的かつ即時にビットコインとドルの兌換を行います。国は、国民がビットコインの取引にアクセスするために必要なトレーニングや仕組みを推進する。
第9条 国が提供する自動かつ即時のビットコインとドルの変換手段の制限と運用は、この目的のために発行される規則に明記されます。
第10条 執行当局は、この法律の実施のために必要な制度的構造を構築する。
第2章 恒久および一時的な規定
第11条 中央準備銀行および金融システム監督庁は、本法第16条に記載された期間内に、対応する規則を発行する。
第12条 第7条で表現されている義務から除外されるのは、有名な事実と明白な方法により、ビットコイン取引を実行できる技術にアクセスできない人です。国は、国民がビットコインの取引にアクセスできるよう、必要な研修や仕組みを推進する。
第13条 この法律の発効前に存在していた、ドルで表現されたすべての金銭債務は、ビットコインで支払うことができます。
第14条 本法の発効に先立ち、国は、エルサルバドル開発銀行への信託の設定を通じて、第8条に記載された国が提供する代替手段のうち、ビットコインのドルへの自動かつ即時の変換を保証しなければならない。
第15条 この法律は、対象物を規制する他の法律に関して、その適用において特別な性格を持つものとし、これに反する規定は廃止されるものとする。
第16条 この政令は、官報に掲載されてから40日目に効力を発する。
どうでしょう。日米欧はじめ先進国一般の暗号通貨規制とは一線を画する取り扱いですね。過去の債務の支払いにまで、ビットコイン決済を認めるというのですから驚きます。ビットコインとドルの交換は市場レートでいつでも即時に行うことができるし、決済にも用いることができるというのです。ビットコインATMや政府公式ウォレットソフトchivoなどの決済手段を国が積極的に提供し、国民に対する教育も行っていくと宣言されています。
https://www.presidencia.gob.sv/tag/ley-bitcoin/
エルサルバドルでは自国のオリジナル通貨サルバドールコロンがほとんど使われなくなっており、主に米国ドルを法定通貨として使っていたので、ドルに対するオプションを追加したというようなニュアンスもあります。自国の通貨を放棄してビットコインに乗り換えた、という話では無いのです。
それでも、世界で初めて、ビットコインを通貨として認める国が出現したということは驚きであり、壮大な社会実験が始まったという記念すべき日なのです。
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