生産性革命により無料の衣食住が達成された場合に、わずかなベーシックインカムにより人々は生活することができるようになります。基本的に、人々は仕事をする必要が無いということになるわけです。残された仕事は、「従来型ビジネスの延長にある、競争に勝ち抜ける仕事」と、「ソーシャルビジネスの緩い仕事」の2種類です。自分はどちらの仕事が向いているのか、考えてみると良いでしょう。
ゲノム編集のインパクトが分かる本です。これから、遺伝子編集を巡って、動植物や人類自身に大きな変革がやってくることが分かります。AI革命が終わったとしても、遺伝子編集の革命はなかなか終わらないでしょう。当面、仕事をしたいならバイオ研究者を目指すというのが一つの選択肢になると思います。
ゲノム編集からはじまる新世界 超先端バイオ技術がヒトとビジネスを変える
小林雅一さんの上記「ゲノム編集とは何か「DNAのメス」クリスパーの衝撃 (講談社現代新書)」とは若干テーマが異なる本ですから両方読むことを推奨します。
特に、この本の第2章「クリスパーを発明したのは誰なのか?」を読みますと、クリスパー特許裁判の判決理由がよく分かります。目からウロコです!
ダウドナ&シャルパンティエ博士の研究は、試験管の中にクラゲDNAと、Cas9タンパク質(DNAを切断する制限酵素)とガイドRNAを入れて、クラゲのDNAを切断するという報告でしたが、ジャーン博士の研究は、ガイドRNAとCas9タンパク質の「遺伝子」を「プラスミド」と呼ばれる環状DNAに組み込んで生体内に注入して核内で制限酵素タンパク質を発現させるという手法でした。生体の核内にタンパク質を直接注入することはできませんから、ジャーン博士の手法は画期的な発明です。これは完全な門外漢の一般素人でも「こりゃあ全然別の発明だな!」と感じられると思います。生体の遺伝子編集はジャーン博士の方法を使わないとできないんだな!と思いました。制限酵素がDNAを切っていることは同じなんですけどね。
この本を読むまで、なんで一番最初に論文発表したダウドナ&シャルパンティエよりもジャーン博士(チャン博士)の特許が認められたのか分からなかったのですが、この説明を読んで意味が分かりました。特許はアイデアを保護するものではなく、アイデアを実現する技術方法を保護するものと言われますが、まさにジャーン博士の技法はCas9を実際に生体で活用するための発明なんですね。遺伝子を編集するというアイデアであれば、ウイルスを使った1972年のポールバーグ博士の研究が先駆者となっていますし、制限酵素を使う遺伝子編集であれば、第一世代ジンクフィンガーヌクレアーゼZFNや第二世代TALENといった遺伝子編集技術も着々と研究が積み重ねられてきました。クリスパーCas9はその精度とスピードを飛躍的に上げてしまったというだけでもあるわけです。
この本には、ジャーン博士と同じ米国ブロード研究所のデビッド・リュー博士らの研究グループが、クリスパーの操作精度を極限まで高めた「ベース・エディティング base editing 」という手法を開発し、2017年10月に英国ネイチャー誌に発表したと紹介されています。これは何と塩基配列の1文字単位で遺伝子編集を可能にする技術だそうです!目がテンになりました!
※ベースエディティングの発表論文
https://www.nature.com/articles/nature24644
シンギュラリティの提唱者レイ・カーツワイルさんは、ジェネティクス(G)、ナノテクノロジー(N)、ロボティクス(R)、つまりG・N・Rという3つの分野が、これから人類の革新をもたらす主要分野であるとおっしゃっています。ジェネティックスは遺伝子工学ですから、まさにこの遺伝子編集のことなのですね!ロボティクスの中には人工知能も含まれるようです。子供達は、ベーシックインカム以外の収入を得たいのであれば、これから、GNRの3つのうちのどれかを目指して走っていくと良いのかもしれません。
山本卓、ゲノム編集とはなにか
これは同じ講談社ですけど、講談社現代新書の小林雅一氏の「ゲノム編集とは何か」とは方向性が違う本です。あちらは2016年の一般向けの本であるのに対して、こちらはバイオテクノロジーを目指す高校生向きの本という感じです。そして2020年の出版だけあって最新動向が記されています。特に第8章「ゲノム編集が拓く新しい生命科学」は特筆すべき内容です。
この本で佐藤留美氏は、日本の労働生産性が先進7か国で最低となっており、OECD加盟35か国でも20位に甘んじている原因を次のように分析しています。
1、経営者がビジネスモデルを変えず、稼ぐ力が弱い。
2、多様な人材を活用できないのでイノベーションが起きにくい。
3、出世に年功要素が払拭できないため、若手のやる気が削がれ組織への愛着が低い。
4、給与に時間給の要素が消えないので、残業前提の働き方が根強く残る。
5、従業員の解雇がしにくいことから、余剰人材が多く、社内失業者が460万人以上いる。
6、企業年金や退職金の設計などが理由で、転職することへのハードルが高く労働市場が流動化しない。だから有用な人材をスカウトしにくい。
7、業務縮小に伴う人材整理がしにくく、衰退産業や事業に人が張り付いたまま、成長産業への人材移動がされにくい。
8、先進国のなかでも社員をトレーニングする教育予算が極めて低く、仕事のスキルが向上しない。
9、ダイバーシティが進まず、女性やシニア人材、外国人の活用ができていない。
10、生産性を高めるシステム投資が進まない。あるいは、その効率が悪い。
日本社会は労働生産性が低いので、全世界で進行中のAI革命・生産性革命の影響が大きい社会となっているのです。生産性革命に関して、日本社会は「ハードランディング」のおそれが大きい訳です。
※参考URL=公益財団法人日本生産性本部
https://www.jpc-net.jp/
生産性を高めるためにも、働き手の側も柔軟な対応が求められています。グーグルの人材開発のリーダーを務めていたピョートル・グジバチ氏は「ニューエリート」という本の中で、旧エリートとニューエリートの違いを次のように対比させていたということです。
旧エリートとニューエリート
旧エリート | ニューエリート |
---|---|
固定化された地位 | 持続的に成長する |
有名大学や大学院卒業 | 豊富な学習歴 |
有名会社に入り一生安泰 | 自分がやりたいことややるべきことを追求 |
金融資産を保有 | 人間関係資本や変身資産(変化を恐れない力)を保有 |
上からの指示に従った仕事が早くて正確 | 新しい枠組を作る |
立身出世や名誉やステータスが動機 | 楽しいからやっている他者貢献 |
誇示的消費 | ミニマリズム(最小限主義) |
同窓会などの限定ネットワーク | 多様性に富んだ交友関係 |
スーツ姿 | wear something |
計画主義 | 学習主義 |
勤勉 | 情熱 |
服従 | 率先 |
安定 | ムーンショット(大ホームラン) |
会社に仕える依存する | 会社をうまく活用する |
なるほど、アメリカのIT企業の経営者がスーツを着ない理由が分かりますね。「俺たちは旧エリートとは違うんだぜ!」という主義主張が込められているというわけです。
著者は、今、VUCA(ブカまたは、ブーカ)の時代に入っていると述べています。VUCAは、つまり、
Volatility(変動性)
Uncertainty(不確実性)
Complexity(複雑性)
Ambiguity(曖昧性)
の頭文字を読み上げているものです。もともとは1990年代に冷戦構造の変化を受けた安全保障を考えるための軍事用語でしたが、21世紀に入って、ITバブル崩壊、リーマンショック、超低金利時代、AI革命、RPA革命、生産性革命により、社会全体が変革を受ける認識が広まり、個人の働き方や生き方を考える上でも有効な着眼点を示すビジネス用語として使われるようになりました。
デューク大学のキャシー・デビッドソン教授は2011年に、「米国の小学校に入学した子どもたちの65パーセントは、大学卒業時に、今は存在していない職業に就くだろう」とニューヨークタイムスに寄稿したということです。まさに不確実性の時代を象徴するような認識ですね。
著者は、2000年ノーベル経済学賞受賞のシカゴ大学ジェームズ・ヘックマン教授の「あらゆる学歴の人において、非認知能力が高まれば賃金も高まる」という研究を紹介し、これからの時代には、AIに代替しずらい非認知能力を鍛えるべきであると主張されています。非認知能力とは、「好奇心」「レジリエンス(適応力)」「グリット(突破力)」「倫理」「リーダーシップ」などの人間性を指すということです。好奇心を持って、畑違いの分野でも、どんどん飛び込んで行きましょうと推奨しています。
具体的対策として、「大人のインターン」というものを推奨しています。リストアップされていますので、御紹介します。
https://loandeal.jp/
http://nanasan.essence.ne.jp/
https://sankak.jp/
https://ridilover.jp/
http://crossfields.jp/
https://www.tigermov.com/
この本は、「具体的にどんな仕事をしろ」という答えを示すものではありませんが、「どのような方法で考えるべきか」ということは示唆してくれる本です。そういうヒントが沢山提示されています。定年5年以内とかの勤め人の方であれば「逃げ切れる」かもしれませんが、それ以外の全ての働く人に推奨できる本ですね。
1989年、ポーランドの民主化と混乱を経験して、モルガンスタンレーやグーグルで人材育成や組織開発をしてきたフェリクス・グジバチさんの「ニューエリート」です。日本社会の硬直性に縛られているとチャンスを逃しますよと、繰り返し述べておられます。
印象に残ったフレーズを列挙しますので、各自原典を読んでみて下さい。
これは個人的な感想ですが、今の日本は江戸時代となんら変わっていません。お上が決め、それを各藩で動かす。今はそれが役人になり、地方自治体、天下り先が生き延びるようにプランニングされています、ですから、地方の長も多くが官僚出身です。
いい大学に入って、いい企業に就職すれば将来は安泰という考えは、すでに破綻しています。
シリコンバレーなら発言しない人は次の会議に呼ばれない
真剣に遊ばないと、仕事で淘汰される時代がやってくる
日本に来てから、大学生が一斉に就活をすると聞いて、驚きました。こんな採用方法をしている国は日本くらいです。
ナノテクの子供向けガイドブックを国の研究機関である物質材料研究機構の研究者が出しています。意外に高度な内容で、大人でも消化するのに時間が掛かります。電子顕微鏡の具体的な仕組みは、この本を読むまで知りませんでした。
具体的に研究者になる方法とか、全国の科学館リストもあって有用な本だと思います。ポスドクが楽しいこととか書いてあって苦笑しましたが、これからは生産性革命の恩恵を受けて生活費が下がりますし、また、クラウドファンディングなども発展していくので研究費も集めやすくなるでしょうから、ポスドクが過ごしやすい時代になっていくと思います。勉強ができるお子さんなら、「何でも良いからとにかく博士を取れ」と指導するのもひとつのシンギュラリティ対策になるのかなと思いました。博士の前に修士ですし、その前に博士を輩出できるような上位の大学に行けるかどうかですね。
2009年発売の「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメントを読んだら」が大ヒットした岩崎夏海さんのシンギュラリティ対策本です。著者の問題提起は、昔どこにもあった駅前のまずいラーメン屋が無くなったのはどうしてか?友人との会話から問題提起して、それはインターネットの発達と口コミサイトの発達で競争が激化したことが原因であると分析し、あらゆる業種で競争が激化し、わずかな勝者と大部分の敗者に分かれる時代がやってきたと警鐘を鳴らし、これに生き残る作戦を提示してくれているわけです。
その一つが「ブルーオーシャン戦略」です。直訳で青い海、そう、競争相手の誰も居ない平和な海を目指せということです。競争激化社会は、「競争しない」という作戦で乗り切れと言っているわけです。競争の無い世界を探せ、というわけです。それはドラッカーが言う「イノベーション」と同じことなんだそうです。新しい価値を探すために、マーケティングが大事になると言います。真の顧客を見つけ出し、適切な商品やサービスを提供せよと言うわけです。但し、成功体験に縛られる「イノベーションのジレンマ」には気をつけて、イノベーションを継続することが大事だと言っておられます。
そして、この本の第二部に提示された「4つの方法」、これが目からウロコなんですね。
1、今あるものを捨てる
ドラッカーの言う「イノベーションの戦略の第一歩は、古いもの、死につつあるもの、陳腐化したものを計画的かつ体系的に捨てることである」という戦略です。成功体験はあるが、それがピークを過ぎ、下火になりつつあるもの、それはやがて消え去るものなんですね。消え去るだろうけど、今現在は一応生きている、その商売にしがみつきたくなってしまうんですね。著者は捨てた成功例として、アップルを挙げて居ます。スティーブジョブスはアップルコンピューターの成功体験を捨てて莫大な費用を掛けても社名を「アップル」に変えてしまい、新たなビジネスモデルをゼロから発掘してしまったのです。
2、本質を見極める
古いものを捨てたら、新しい価値を見つけるためのコツを活用します。それは、長期スパンで考えて、ものごとの本質に迫るという戦略です。現在の短期スパンで考えた場合の「常識を疑う」という作戦になります。仕事の場面では、目の前の顧客じゃなくて、誰が目の前の顧客のパトロンなのか、「顧客の顧客」が誰なのか、それを考えろと言っておられます。
3、隣にずれる
イノベーションは盲点に潜んでいる。灯台もと暗し、である。アップルは、コンピューターから、iPod にずれて、さらにiTunes にずれて行ったのが成功したと分析しています。アマゾンだって、ネット書店から、家電も含めた総合販売サイトへ、電子書籍からキンドルへ、そしてAWSへとどんどんずれているわけです。グーグルだって検索から広告へ、さらにグーグルマップから自動運転へとずれまくっているわけです。著者は、ずれる作戦として、「人から頼まれた気の進まない仕事」を頑張れとアドバイスしておられます。そういうところにニーズ「予期せぬ成功」が潜んでいるのだそうです。また、ずれるために「2つの特技を作れ」ともアドバイスしています。スペシャリストよりジェネラリストを目指せということです。TEDを見て、情報発信力、プレゼンテーション能力を磨きましょう。
4、現場に還る
インターネット時代、情報化社会になって、情報の価値が下がり、かつ、情報の最前線も変わってきたということです。ネットでは入手できないような、現場の肌感覚が大事になってきているのです。現場体験を重視せよというわけです。音楽業界では、CD販売よりもライブ収入が増えているし、AKB48の大ヒットは秋本康が現場=劇場で顧客の反応をじっと観察することにより、握手会や総選挙という新しいアイデアを次々にヒットさせることができたそうです。
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どうでしょう、読むと分かったような気になりますが、今現在の自分自身の目の前の仕事や、子供の具体的な進路でどのように活かせば良いのか、その具体的なことは当然ながら一切書いてないのです。それは各自が上記ヒントを活かして考えて自ら編み出して行かなければならないんですね。競争を捨ててブルーオーシャン、言うはやすし行うは難しとも言いますが、漕ぎ出したいですね!
捨てないパン屋、田村陽至
広島の人気カンパーニュ屋さんの自叙伝です。祖父の代からの町のパン屋で時代の波に翻弄されながら、世界を旅して、自分らしいパン屋の形を模索して実現した話です。
しかしこの本を読んでいて思いました。この本は「パンの本じゃない」ということです。この本は、「生き方の本」なのです。どのように働いて、どのように生きていくかを考える本なのです。「働き方改革」、「生き方改革」の本なのです。
この本で語られる刺激的な言葉を引用します。
第3章、旅するパン屋、より
「人生の分かれ道に直面したとき、僕はつねに自分がドキドキするほうを選ぶと決めて、実際にそうしてきました。」
「ヨーロッパでは、なぜ年に40日以上ものヴァカンスがとれて、日本と同じか、それよりさらに、国が豊かなのか?なぜ、生活も、いいものを食べて、ゆったりしているのか?」
「ヨーロッパの人たちは、ろくすっぽ働いていない。それでもみんな長期休暇をとったり、土日はしっかり休んだり、バカンスシーズンにはどんなへんぴな田舎町でも長期滞在者で賑わっていたりします。日本は何も勝っていないのです。明治維新の頃に、世界をはじめて見た日本人のような気がしました。」
第4章、競わないパン屋、より
「中川さんの畑を見たあとに、偶然引き寄せられるように、洞爺湖で、今度は野菜の自然農の畑を見学する機会に恵まれました。畑じゅう草がボウボウ生えているのに、栽培している野菜は虫にも食われず、生き生きしています。バジルも雑草に埋もれながら、ピンピンしていました。」
「ネットで、武具の兜の店が大繁盛しているとかいう時代です。いかにニッチな層のお客さんとしっかり深く付き合っていくかを考えるべき時代です。」
第5章、働かないパン屋、より
「僕の大好きなフランスのパン屋ポワラーヌは、何百年と変わらぬ薪でパンを焼く製法で、世界で一番と言われるパン屋になりました。結局、美味しかったのです。先代の店主はそれを「レトロ・イノベーション」と言いました。古いやり方で革新するという意味です。僕はこの考え方が好きなのです。」
「儲かっているから行くのではなく、赤字でも行かなければいけないのです。むしろ、赤字ならなおさら行くべきです。赤字ということは、今のままでは評価されていないということ。お客さまに必要とされていない。刺激も成長もないから誰も来ないのです。同じことをやっていても評価されないでしょう。だから成長するための材料を探しに旅に出ないといけないのです。」
あとがき、より
「だいたいの場合、みなさんが感じていることが正解なのです。だから自信をもって行動してみてほしいのです。」
「商売はもっと単純になって、まっすぐにお客や社会のことを考えて、人の役に立ち「ありがとう」とたくさん言われた会社がいい会社になってきていると思います。「ありがとう」ポイントをどれだけ集めるかが商売になってきています。」
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パン屋を通して、生き方、働き方を考えさせられる本です。「株式会社」「正社員」「週40時間労働」というような20世紀の日本的な価値観が日本人自身を縛り付けちゃってるかもしれませんよ、という話なんですね。もっと自由になろうぜ!という励ましの本なのです。
お客さんに喜んでもらいたいから、国産の美味しい小麦を探していたら、どんどん小麦農家のネットワークも広がっていったというのです。パンを捨てたくないから、パンを引き取ってもらえる店のネットワークも広がっていったというのです。「おいしいパンを焼きたい」「つくったパンを捨てたくない」というところから逆算して、パン屋の形が決まっていったという感じです。必要は発明の母と言いますが、求めていれば自ずと道は開かれるということでしょうか。この仕事のやり方、全ての仕事に応用できるんじゃないでしょうか。
この本では、「ヨーロッパと日本では幸せの定義が異なる」ということも書いてありました。日本みたいな新築タワーマンションよりも、古いボロボロの家に皆喜んで住んでいるということです。それでも、フランスでは時間がゆっくり流れ、随分幸せに見えるということです。「働き方改革」「生き方改革」は、「幸せ改革」かもしれません。「幸せの定義を見直しましょう」ということなんですね。
https://ja.wikipedia.org/wiki/国民総幸福量
https://ja.wikipedia.org/wiki/世界幸福度報告
藤村靖之、月3万円ビジネス
工学博士で日大工学部客員教授で、非電化工房の自立共生塾を主催する藤村靖之さんのソーシャルビジネスの教科書です。AI革命により機械に仕事を奪われるという心配のある人は是非読んで下さい。コンピューターに負けない戦略が列挙されています。目からウロコの作戦です。
ソーシャルビジネスと従来ビジネスの違い
藤村靖之さんの「3万円ビジネス」には、従来型強欲ビジネスに対比されるソーシャルビジネスの特性が列挙されています。社会起業家の元祖、グラミン銀行のムハマド・ユヌスさんの視点も同じです。二つのビジネスは20世紀と21世紀の対比でもあります。ソーシャルビジネス | 従来型強欲ビジネス | |
---|---|---|
藤村靖之の分類 | 月3万円ビジネス | 競争ビジネス |
ムハマドユヌスの分類 | Social Business | Profit Maximizing Business |
収入 | 月3万円程度しか稼げない | いくらでも稼げる |
ビジネスのテーマ | いいこと(人や社会が幸せになること) | 儲かること |
ビジネスの方法 | 分かち合いのビジネス | 仁義なき戦い、奪い合いのビジネス |
売る人 | いいひとしか売らない | 誰でも売る |
買う人 | いいひとしか買わない | 誰でも買う |
スタイル | 副業、複業 | 専業(ひとつのビジネスで沢山稼ぐ) |
支出 | 支出の少ない生活 | 支出の多い生活 |
独占 | 独占しない | 独占を目指す |
商品 | 潜在的な強い欲求に対応する感動的な商品 | 良く売れている商品 |
価格 | 価値より安い価格 | 儲かる価格 |
客に対する態度 | 客を譲り合う | 客を奪い合う |
インターネット | ネットでは売らない | ネットで売る |
流通 | お客に直販する | 強力な卸売りルートを活用する |
借金 | 借金しない | 借金する |
固定費 | 固定費ゼロ | 固定費に縛られる |
営業経費 | 営業経費ゼロ | 営業経費7~9割 |
宣伝広告費 | クチコミで売る | 宣伝広告費を掛ける |
目的 | 友達と愉しむこと | 儲かること |
趣味や社会活動 | 仕事と趣味と社会活動が一体化 | 仕事と切り離す |
組織 | NPO | 株式会社 |
GDP | 縮小しても構わない | 拡大を目指す |
知的財産権 | コピーレフト(共有) | コピーライト(独占保護) |
ライフサイクル | リサイクル | 使い捨て |
場所 | 地方 | 都会 |
従業員 | 雇用よりも家族や友人に助けてもらう | 雇用する |
哲学 | 無私(Selflessness) | 私利(Selfishness) |
時代 | 産業革命以前、21世紀 | 産業革命から20世紀まで |
電力 | オフグリッド、非電化、省電力 | 大量消費 |
エネルギー | 再生可能エネルギー | 化石燃料 |
お金の流れで読む 日本と世界の未来 世界的投資家は予見する (PHP新書)、ジムロジャーズ
伝説の投資家ジムロジャーズさんは、アメリカのネット番組(yahoo Market Moversとか)などでも気軽にコメント下さる僕らのヒーローですね。そんなジム兄貴が、大好きな日本の国民に向けて世界の未来を教えて下さっているのです。文章のキレ味を感じて下さい。投資だって立派な仕事です。
中高生、大学生、社会人、主婦、高齢者、それぞれ皆さんお忙しいことかと思いますが、日常活動を放棄しても、一旦立ち止まってこの本を読むべきです。勉強なんてしている場合ではありません。ジム兄貴は、「私がもし10歳の日本人なら、ただちに日本を去るだろう」と御指導下さっているのです。なんと衝撃的な!
「ジム兄貴!どこまでも付いていきますが、なんとか、日本脱出しない方法は無いですか?」
ここから先は管理人の推測で、ジム兄貴の回答を書きます。というか、この本に書いてある事を列挙致します。詳細は本を手に取って各自ご検討お願いします。
1)今の日本は50年後には消えて無くなる。犯罪が増えて、老齢年金も消滅する。今の日本の生活を維持したいなら、日本を出て行く以外の方法は無い。日本の若者は、韓国か中国かコロンビアかベトナムに行くと良い。
2)これから伸びる国は、インド、イラン、北朝鮮である。
3)日本で投資するなら、観光(外国人のインバウンド消費)、農業、教育に投資せよ。
4)アメリカ株は2020年までのどこかの時点で上昇トレンドを終了させる。
5)中国のSTEM理系教育は突出しており、成長余地が残されている。
6)ロシアは債務が少なく、プロパガンダに惑わされず投資を考えるべきだ。
7)AIのインパクトを正しく認識せよ。例えば、2000年にゴールドマンサックス本社の現物株式取引部門のトレーダーは600人だったが、2017年には2人に減った。
最後に、ジムロジャーズ兄貴の金言を引用したいと思います。
「あなたは、世界でなにが起きているかなんてどうでもいいと言うかもしれない。南アフリカで何がおきているのか、中国で何がおきているのか、自分には関係ないと言うかもしれない。しかし、世界で起こる出来事のすべては、あなたの仕事が何であれ、最終的にあなたの人生に影響するのだ。」
須田桃子、合成生物学の衝撃
これは21世紀に仕事をしていきたい子供達には必読の書だと思います。なぜなら、ビルゲイツが言っているからです。
「もし私がティーンエイジャーだったら、コンピュータではなく生物学をハッキングしただろう」
そうです1970年代に誰もパーソナルコンピューターを見たことが無い時代に、個人用コンピューターのソフトウェアを構築することはワクワクするような冒険でしたが、21世紀の現代では、そんなことは時代後れの遺跡なのです。今、子供達の心をワクワクさせるものは、人工DNAから人工生命体を造ること、そして人工DNAから生まれる人間を造ることなのです。
合成生物学の簡易年表を示します。
2003年、ヒトゲノム解読完了宣言。同年、クレイグベンターの研究グループが、ファイX174ウイルスの5300塩基対DNAの人工合成に成功し、人工ウイルスの増殖を確認。
2010年、クレイグベンターの研究グループが、マイコプラズマ・マイコイデスの100万塩基対のDNAを人工合成し、人工細胞の合成に成功した。細胞は青く着色され、研究メンバーの名前やメールアドレスが、DNAに書き込まれた。
2015年、ヒトゲノム合成計画発足。10年以内にヒトゲノムを人工合成する目標が掲げられた。
2016年、クレイグベンターの研究グループが、53万塩基対の人工細胞DNA合成に成功し、ミニマルセル(最小細胞)と名付けられた。人工生命体の誕生である。
2017年、ヒトゲノム合成計画が、批判を受けて「ゲノム合成計画」とタイトル変更し、具体的なプロジェクトが採択され、研究がスタートした。
シンギュラリティの時代に仕事が無くなっても、不労所得は残るでしょう。インカムゲイン、キャピタルゲインを得るために金融市場に参加する場合は、カナダ出身の経済学者ジョン・ケネス・ガルブレイスの「バブルの物語」を読んでおく必要があります。
バブルの歴史、17世紀オランダのチューリップバブルや、18世紀フランスのミシシッピバブル、イギリスの南海バブルの経緯が説明されています。そして、バブルはいつも同じ経過を辿ると教えてくれます。
印象に残ったガルブレイスの主張をいくつか挙げます。彼はきっと新古典派というより、ケインジアンに近い立場なのでしょう。
・暴落の前に金融の天才がいる・・・巨額の金がかかわっている以上それを動かす人の頭脳も偉大であるに違いないと信じ込んでしまう。
・金融上の操作は革新にはなり得ない・・・レバレッジ取引、持ち株会社、M&A、すべて革新的発明ともてはやされたがバブルがはじけて真実が露呈する。
・投機の結末では真実はほとんど無視される・・・投機の終末期には異常な楽観主義・大衆的狂気が蔓延し、真実はほとんど無視され省みられることも無い。
・チューリップバブルでは、球根1個が「新しい馬車1台、葦毛の馬2頭、そして馬具一式」と交換可能なほどになった。
・貴族、市民、農民、職人、水夫、従僕、女中、さらには煙突掃除夫や古着屋のおばさんまでがチューリップに手を出した。
・ミシシッピバブルでは、ミシシッピ会社の株式を買うために売春する婦人まで現れた。
・1929年と1987年のバブル崩壊は、共和党政権下で発生した・・・この繰り返しは全くの偶然とは言い切れない。