量子コンピュータをみんなに分かってほしいという思いで書かれた本です。と言っても高校数学まで勉強している前提のお話です。
リチャードファインマンさんは、1981年のボストンの国際会議でいいました、「自然は古典力学ではなく、量子力学で動いている。自然の振る舞いを計算するなら、量子力学的にやるべきだ。」
この時に古典力学で比喩されたのが、当時使われていた従来型トランジスタ式の論理ゲート型コンピュータ、「古典コンピュータ」です。原子の内部の動きは量子力学に支配されているから、原子内外の動きを知りたいなら、「量子コンピュータ」を使うべきというのです。
このクリスバーンハルトさんの本にも驚くべき文章があります。
この本を読み終えるころには、あなたは量子コンピューティングの根底にある基本的な考え方を理解し、その独創的で美しい構造を目の当たりにするでしょう。また、量子コンピューティングと古典コンピューティングは2つの異なる学問分野ではなく、量子コンピューティングは計算の、より本質的な形であり、古典コンピュータで計算できるものはすべて量子コンピュータで計算できる、ということがわかるでしょう。ビットではなく、量子ビットが計算の基本単位であると言えるでしょう。「計算」とは、突き詰めると「量子計算」のことを意味します。
なんと、古典コンピュータばかりを毎日使っている我々からすると、量子コンピュータの研究者というのは、あべこべの世界に住んでいるようです。
コンデンサの中に電子が入っているかどうか、電圧が高いか低いか、という論理ビットの計算よりも、原子の中の量子状態でゼロとイチが重ね合わせの状態になっている量子ビットの計算の方が本来の姿であるというのです。
たしかに古典コンピュータは電子を使って計算するけど、電子の個数は数えてないし、電子が「あるかないか」というような「大雑把な」基準でしか電子を使ってないからダメなんだよね、と言っているようです。まあ、シリコントランジスタ計算機は、高速のソロバンみたいなものと言っても強ち間違っているわけでもありません。
シュテルン・ゲルラッハの実験で明らかになった、電子のスピンを利用した量子計算をしないとダメだと言っているんですね。
※参考記事
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