インド政府が暗号通貨の禁止法案を検討
計画されている法律は、「インド準備銀行(RBI)が発行する公式のデジタル通貨を促進させること」を目的としています。この法案は、インドのすべての民間暗号通貨を禁止しようとしていますが、暗号通貨とその使用の基礎となる技術を促進するために特定の例外を認めています。
RBI総裁のShaktikanta Dasは、「マクロ経済と金融の安定性の観点から深刻な懸念を抱いており、ブロックチェーン技術は暗号通貨なしで繁栄できる」と述べました。モディ首相は先週、暗号通貨は「私たちの若者を台無しにする可能性がある」と述べました。
このインドの動きは中国と類似するものであり、ビットコインを法定通貨に加えたエルサルバドルとは正反対を行くものです。
IMFの動き
IMF国際通貨基金は2021/11/22の調査報告で、次の声明を発表しています。
エルサルバドルは、2021年9月7日に法定通貨としてビットコインを採用した最初の国になりました 。ビットコイン法では、米ドルを国の会計単位として維持していますが、技術的な障害がない限りビットコインの受け入れを義務付けています。新しいデジタル決済手段である米ドルとビットコインの両方で動作するeウォレット Chivoが導入され、金融包摂を促進するために政府によって強力にサポートされています。法律はまた、予算から1億5000万米ドルの資金を調達した信託基金を通じて、ビットコインから米ドルへの自動変換を保証しており、変換はChivoで行われ ます。
金融包摂を改善し成長を促進するための努力は歓迎されますが、ビットコインを法定通貨とする場合のリスク、新しい支払いエコシステム、およびビットコインでの取引から生じるリスクに対処する必要があります。 Chivoのような暗号技術とデジタル決済システムは効率的な支払いを促進し、金融包摂を強化し、経済成長を支持できる可能性もありますが、ビットコインの価格変動性が高いことを考えると、法定通貨としての使用は、消費者保護、財務の完全性、および財務の安定性に重大なリスクを伴います。その使用はまた、財政上の偶発債務を生じさせる可能性があります。これらのリスクがあるため、ビットコインを法定通貨として使用しないでください。我々はビットコイン法の範囲を狭めることを推奨し、新しい支払いシステムの規制と監督を強化することを促します。他のeウォレットと同様に、Chivo準備資産を分離することにより、米ドルとビットコインの両方で顧客の資金を完全に保護する必要があります。消費者保護、マネーロンダリング防止とテロ対策資金調達(AML / CFT)、およびリスク管理のために、新しい決済エコシステムのより強力な規制と監視を直ちに実施する必要があります。銀行規制では、ビットコインに関連する保守的な資本や流動性の要件などの慎重な保護手段を組み込む必要があります。信託基金の解散やChivoへの公的助成金の撤回など、財政上の偶発債務を制限するための措置、また、迅速に検討する必要があります。最近発表された新しいソブリン債発行の収益をビットコインに投資するために使用する計画、およびビットコインでより広く取引することの影響は、金融の安定性への影響と潜在的なリスクの非常に注意深い分析を必要とします。
まさに、暗号資産を促進するのか規制するのか、正面衝突が起きています。
従来のエスタブリッシュメント(体制)側からは、暗号資産は可能な限り規制すべきという立場になりますし、従来の権力を持たない立場、それは最貧国のひとつであるエルサルバドルも含まれますが、そういう立場では、いちかばちか、ビットコインに賭けたい、という立場になるわけです。下克上ですね。
従来の体制側でも、自由主義経済を標ぼうする諸国家においては、他の無形デジタル資産と同様に、ソフトウェアやデジタルデータに投資することを完全に禁止することはできないというジレンマを抱えています。
この問題は、有史以来の人類の歴史の観点から考えてみることが有益かもしれません。国民国家から民間企業へ、中央集権から分散金融へ、権力も経済も、人類の歴史は、常に分散の歴史でした。分散を食い止めようとしても、有史以来今まで、誰も止められなかったのです。
また、ビットコイン規制法は、1920年代のアメリカ禁酒法とのアナロジーで考えることもできるでしょう。禁止しても禁止しても、どんどん地下に潜って酒が流通してしまったように、ビットコインを禁止しても禁止しても、どんどん地下に潜ってビットコインが流通していくことを止められないのです。
そのように考えますと、この戦いの勝負の行く末は、長期的に見れば明確なことなのかもしれません。
シンギュラリティ表
産業革命以前、20世紀と21世紀の違い、シンギュラリティの前後でどのように変わるのか、一覧表にしてみました。当然、就職先や投資先は右側の「新体制」に属する企業を目的とすべきでしょう。左側の「旧体制」企業は、少しずつでも右側の方に移行できるように努力し続けなければ生き残れません。項目 | 中世 | 旧体制 | 新体制 |
---|---|---|---|
西暦 | 19世紀まで | 20世紀 | 21世紀 |
価値の源泉 | 宗教 | 人間中心主義 | データ主義 |
政治 | 王権神授説 | 議会制民主制 | デジタル民主制 |
経済 | 貨幣経済(金利なし、聖書によるウスラ禁止) | 資本主義(金利あり)、成長経済 | シェアリングエコノミー(金利なし)、定常経済 |
人口 | ほぼ一定 | 増加(ベビーブーム) | 減少(少子高齢化) |
物価 | ほぼ一定 | 上昇(財産の囲い込み) | 下落(協働型コモンズを無償利用) |
通貨 | 政府発行の法定通貨(国際取引は未熟) | 政府発行の法定通貨(基軸通貨はドル) | 暗号通貨(主要通貨はビットコイン) |
金融 | 小規模融資 | 銀行融資 | クラウドファンディング |
企業 | 特許会社 | 大企業ビジネス株式会社 | 小規模、非営利団体NPOボランティア、ソーシャルビジネス、分散型自律組織DAO(decentralized autonomous organization) |
労働 | 奴隷的労働 | 雇用契約の必要あり。正社員パーマネント契約。給与は低いが多数雇用される。 | 必要ないがやるなら単発の仕事(ギグ)。パートタイム業務委託契約。給与は高く小数精鋭。 |
生産 | 手工業から蒸気機関への移行 | 工場でNC加工 | 家庭で3Dプリンティング |
収入 | 自営収入 | 給与、キャピタルゲイン | ベーシックインカム |
コンピューター | 機械式計算機 | ノイマン型(プログラムで動く)、デジタル古典コンピューター | データ駆動型、ディープラーニング型(NN機械学習で動く)、量子コンピューター |
インターネット | なし | クライアントサーバーモデル(中央集権)、web1.0&2.0 | ピアツーピアによるブロックチェーン(分散台帳)、web3.0 |
流通・小売業 | 小規模小売業 | デパート百貨店、商店街、グローバル化 | 百円ショップ、無人コンビニ自動販売機、ネット通販ロボット配送、ローカル化、eコマース、Qコマース、ダークストア |
モノとヒトの関係 | 所有 | 所有 | アクセス |
情報 | 非公開 | 紙媒体を購入 | インターネットで無償取得 |
著作権・知的財産権 | 未成熟 | 保護 | 廃止(海賊党運動) |
エネルギー | 木炭、石炭 | 有料の化石燃料を給油 | 無料の太陽光エネルギーを充電 |
自動車 | 馬車 | 内燃機関エンジンの自動車を購入して人間が運転 | 電気モーターのカーシェアリングをコンピューターが自動運転, MaaS |
衣類 | 手工業 | 背広、プレタポルテ(高級既製服) | wear something→ユニクロ,ZARA,H&M,Gap |
食料 | 自給自足 | 高価(働かざる者くうべからず) | 安価(限りなくゼロ、無料に近づく) |
住居 | 代々相続 | 住宅ローンで新築住宅を購入 | 空き屋に無償で入居 |
不動産 | 価値の源泉 | 価値の源泉 | 価値無し(VR・AR・デジタルツインへ移行) |
ビジネスの主戦場 | 王宮 | 大都市 | メタバース(ネットワーク上の仮想世界)、リアルサイトは辺境 |
家族 | 大家族 | 夫婦と子供2人 | 単身世帯 |
主要団体 | 封建国家 | 国民国家 | NGO,NPO |
必要な勉強 | 技能型、親方に弟子入りする | 暗記型、教科書を習得する | 討論型、答えの無い問題を切り拓く |
資格・学歴 | 形成期 | 価値があるし必要 | 価値は無く不要(学びは必要) |
飲食店・店舗 | 実店舗 | 実店舗、多様性 | 無人コンビニへ集約、ゴーストキッチン、クラウドキッチン |
主要議題 | ルネッサンス | 開発・発展 | 持続可能性SDGs |
世界観 | 神話 | 開発の物語 | 新しい物語 |
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