最初に「ホモ・デウス」を読んで、次にNHKスペシャルの「衝撃の書が語る人類の未来」という番組を拝見して、最後に「サピエンス全史」を読みました。
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/3115510/index.html
やっぱり、ユヴァル・ノア・ハラリさん、キレッキレの知性の持ち主です。至るところに驚かされる慧眼がちりばめられています。特に女子学生の方は、上巻第8章を読むべきと思います。小学生にはちょっと難しいとしても、中学生・高校生・大学生以上の女子は必読と思います。
それはだいたいこんなお話です。管理人による読解を御紹介致します。
第8章、想像上のヒエラルキーと差別
「想像上の秩序」と「書記体系」により、サピエンスは巨大なネットワークを組織することができるようになったが、これは中立的でも公正でも無く、架空のヒエラルキーと不当な差別を生み出した。アメリカ独立宣言は万人の平等を謳っていながら、富める者と貧しい者の不平等には関心が無かった。当時のアメリカ人にとって平等とは富める者と貧しい者に同じ法律が適用されることを意味するに過ぎなかったのである。ヒエラルキーは征服者が被征服者との力関係を固定化させるために利用されることが多かった。それは生物学的に何の根拠も無いにも関わらず、世代を重ねる毎に強固なものとなっていく悪循環の性質を有していた。たいていの社会政治的ヒエラルキーは、論理的基盤や生物学的基盤を欠いており、偶然の出来事を神話で支えて永続させたものにほかならない。歴史を学ぶ重要な理由のひとつは、それを知ることである。
サピエンスの男と女は、生物学的な差異で分けられているが、ほとんどの人間社会で家父長制が布かれ、男女間の格差が大きかった。女性は子供を産み育てるのに必要なエストロゲン(女性ホルモン)を大量に分泌し、テストステロン(男性ホルモン)は男性より少ないが、そのことが社会における支配的地位を占めることに不都合であるかどうかは、全く分からないことだ。それにも関わらず、つい最近まで、そして現在においても、男女の格差が続いていることは不可思議なことである。
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「あら、女性差別なんて前から存じてましたが」と言われるかも知れませんが、第6章でアメリカ独立宣言を完全に論破した部分も含めて、あらゆる社会秩序は虚構の神話であると明確に描き出してくれています。
その虚構の神話がどのように形成され、維持されてきたのか、どれくらい強固なものかを、7万年以上の人類の歴史に沿って理解することができます。
そういえばつい最近も、私立大学医学部の入試不正問題がありましたね。女性や多浪の受験生に不利益な取り扱いをしていたという問題です。
まったく不条理な社会ですが、不条理なことに腹を立ててはいけませんよと教えてくれています。「人間社会とはもともとそういうものだ」ということなんですね。じゃあどうすればよいでしょうか、やはり「戦わずして勝つ!」ということを目指すのが良いかと思いました。
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