コモディティ化とは、生産性向上により特定商品の品質や機能が均一化し、価値に差がなくなり、低額化した状態をさします。汎用品化、陳腐化とも言います。英語でcommodityは商品というような意味(例、daily commodities = 日曜生活品)ですが、ようするに個性を失った普通の商品になるということを意味します。希少価値が失われた状態です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/コモディティ化
例えば、爪楊枝(つまようじ)や割り箸なら、使う人は、それが何処で誰によって製造されたのか気にも留めないと思います。爪楊枝や割り箸はコモディティ化されているため、ブランド力も消失しているのです。乾電池などもコモディティ化していると言えます。おおむね、100円ショップで販売しているような商品はコモディティ化が完了していると言って間違いありません。
ソフトウェア、ハードウェア、サービス業、あらゆる産業分野で、あらゆる商品やサービスのコモディティ化が進行しています。それは自由主義競争社会において避けられない方向性でもあります。商品やサービスがコモディティ化するのは、当該商品やサービスの需要が高いため、あらゆる企業が参入して競争激化することが原因にあります。当該商品サービスは消費者の需要が大きく大量に販売されるので企業にとって大きな収入源です。企業の収益は、コモディティ化する商品サービスと、未だコモディティ化していない新規商品(イノベーション)とのバランスから成り立っています。今現在売れている商品やサービスの開発販売に固執してしまうと、当該商品やサービスのコモディティ化によって、企業全体の収益が激減してしまうリスクがあります。そのため、大企業は、常に、新しい収益源を探索する努力を怠るべきではありません。コモディティ化していない、新しい商品を探し続けなければならないのです。
日本の鉄鋼メーカーは、1980年代からの日米貿易摩擦や、1985年プラザ合意後の円高不況を乗り越えるために、特殊鋼の研究開発に力を入れて、世界で1社しか製造できない、というような特殊な製品の開発に注力してきました。
※参考URL、特殊鋼2015年1月号
http://www.tokushuko.or.jp/publication/magazine/pdf/2015/magazine1501.pdf
日本のトヨタ自動車も、豊田章男社長が、「トヨタには、ハイブリッドカーの開発でつちかった電動化技術に加えて、「クルマへの愛」、「クルマを絶対にコモディティにはしないという決意」があります。」と述べています。これは、一部のクルマがコモディティ化することは予期した上で、企業の存続を図るために、コモディティ化しないクルマとはどういうものか考えていきたいという決意表明であると理解することができます。
※参考URL、2017年12月13日トヨタとパナソニック共同記者会見
https://newsroom.toyota.co.jp/jp/corporate/20115782.html
経済学者、未来学者ジェレミーリフキンは、生産性革命により、限界費用=商品を新たに1個製造する原価がゼロに近づいて、社会全体が大きな変革を受けると予言しています。コモディティ化する商品の数がどんどん増えると予想されています。定期的に100円ショップに足を運べばわかりますね。毎年毎年、どんどん100円ショップの品揃えが増えていることが感じられるはずです。