シンギュラリティを乗り越えるための量子力学と相対性理論?

竹内薫、ファインマン物理学を読む

竹内薫さんの「ファインマン物理学を読む」のはしがきに、意外な事が書いてありました。

この本を書くきっかけは、丸山圭三郎さんの「ソシュールを読む」だと言うのです、この本でソシュール言語学に親しむことが出来たので、自分もファインマン物理学で同じようなガイドブックをつくりたいと書いてありました。

もう何十年前か、管理人もソシュールの「言語の恣意性」に触れて仰天した記憶があります。虹の七色をどのように名付けるのか、その名前付けには何の根拠も無い、というのです。目の前で、言語の堅牢な構造が崩れていくような驚きでした。

また、「私や読者のみなさんが知っている学校教育といえば、このプロイセン発の教育なのだが、それが第四次産業革命の到来とともに終焉を迎えようとしている。これからの人類は、自由な精神で探求していかないと、人工知能に仕事を奪われてしまう。」とも書いてありました。

ファインマン先生の自由な発想と探求心を学んで、21世紀の産業革命を乗り切ろうと書いてあるわけです。それで喜び勇んで読んでみたのですが、、ちょっと難しいですよね。管理人的には、次の本の方が分かり易かったです。

片山泰久、量子力学の世界

要するに、目の前の日常世界、ニュートン力学の世界とは違う世界が、マクロな宇宙空間で相対論として拡大されているし、ミクロの原子レベルでも信じられないような量子力学の世界が広がっているということを、20世紀初頭の物理学者達と一緒に追体験しましょうというのです。

シンギュラリティを乗り越えるために、量子力学や相対性理論の知識が必須ということは無いと思いますが、でも、管理人としても次の実験や観測のことは知っておいた方が良いだろうなと思うものを御紹介致します。

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地球の自転速度と光の速度の差を観測しようとした、マイケルソン・モーリーの実験です。精巧な実験装置のはじき出す驚くべき結果!その結果をどのように解釈するのか、世界中の物理学者が知恵を絞り、ローレンツ短縮という妥協策を編み出したが、アインシュタインが発想の転換で新しい世界を切り開いた。遂に人類が時空の歪みを認識するに至ったというわけです。

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ドイツの物理学者ヨゼフ・フォン・フラウンホーファーが1814年に太陽光をプリズムで波長別に観察(スペクトル観察)したところ、D線(ナトリウムに吸収された暗線)が2本に分かれていることを発見しました。

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1922年にシュテルンとゲルラッハは、N極とS極で形状を変えて不均一にした磁界の中に、沸騰させて飛ばした銀原子を通過させて観測スクリーンにぶつけて、銀原子のビームが2つに分かれることを発見しました。これにより、銀原子の中の電子が磁気モーメントを持つこと、その磁気モーメントは2種類あることが分かりました。電子が磁気モーメントを持つことから、自転のような運動=スピン角運動をしていることが推測されたというわけです。世の中には2種類の電子があると人類が気付いたのです。

どうでしょう、日常世界では全く思いもしないような出来事が、マクロやミクロの世界で起こっている訳です。それは様々な実験や数学の道具を駆使して探求されているのですが、それが、半導体や原子力発電など、我々の日常生活にも多大な影響を与え続けています。これからも、同じようなフィードバックが起き続けるでしょう。

 


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