E=mc^4は、イスラエルの歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリさんが発明した方程式です(笑)。
アインシュタイン博士の有名な E=mc^2 は質量とエネルギーの等価性を示したものですが、ハラリさんは、「21世紀の地球上でアインシュタインの方程式を信じていない知識人は居ない」、ということを示すためにE=mc^4を提示したのです。
これは、ハラリさんの最新作「21レッスンズ-21世紀の人類のための21の思考」の第6章に出てきます。管理人の読解を提示致しますので各自読んでみて下さい。
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6、文明
シリア内戦、イスラミックステート、ブレグジットなどの問題は西洋文明とイスラム文明の衝突のように理解されることが多いが、人類の種はひとつであり、地球には人類のひとつのグローバル文明しかないと考えるべきだ。それは、オリンピックの組織力、ドルの通用力、世界中の知識人のアインシュタインの方程式に対する態度を見れば理解できるだろう。イラン人も北朝鮮人もE=mc^4などと考えているわけではない。21世紀の難題は皆グローバルであり、気候変動による生態系の崩壊、AI革命による人の仕事の無用化、バイオテクノロジーによる人類のアップグレードなどを受けて起こるであろう紛争は、単一文明内の兄弟ケンカとでもいうべきものだ。
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有史以来、世界観や物理的定義は宗教の専売特許でしたが、ルネッサンス以降の科学革命の勝利により、世界中の人類の誰もが同じ物理法則を信奉するようになったというのです。現代物理学を信奉する限りにおいて、イスラム教もキリスト教も仏教もない、というわけです。本当に違う文明であるならば、異なる科学大系を打ち立てなければなりません。大航海時代の前にはそれは世界各地で語り継がれてきた神話の形で並立していたのです。「宇宙の大きさ」「宇宙の年齢」などについて、それぞれの地域の宗教がそれぞれ異なる物語を持っていました。それが、科学革命によってあっけなく統一されてしまったのです。宗教は世界観や物理定義の分野から撤退し、ナショナリズムに奉仕するアイデンティティ提供者として、あるいは日常生活の祈祷分野に逃げ込むことによりかろうじて生き残ることができたというのです。
ハラリさんは、「人類よ、お前達は同じ文明の構成員であるから、仲良くしなさい。そして共通課題の解決に向けて共に努力しなさい。」と言っているように読めました。
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