我らがヒーロー、レイダリオさんが、新しい考察を発表しましたね。「世界秩序の変化」というものです。「これから、私たちがこれまでの人生で経験した時代とは根本的に異なる時代に突入する。それは歴史上何度も繰り返された事である。」というのです。
詳しくは原文を読んで頂くとして、レイダリオさんの問題意識は、「コロナショック」とは何の関係も無い様子です。人類は、もっと大きな世界秩序の変化に直面しているというのです。
何が本質かと言えば、過去に何度も繰り返されてきた100年単位の覇権国の興亡のサイクルがここにも出現しているのではないかということなんですね。過去のオランダ帝国、大英帝国からアメリカ帝国に移り、それが中国の挑戦を受けているというのです。
そして、現在の状況は1930年から1945年までの状況に類似していると分析しているわけです。言うまでも無く、それは1929年世界大恐慌から第二次世界大戦終結までの歴史なのですね。なんと恐ろしい!でも、レイダリオ先生は「非常に似ている」と断言しておられます。
今までの時代とは根本的に異なる時代に突入する、というのは、まさに「ゲームチェンジ」の「シンギュラリティ」の時代ということであり、当サイトの問題意識と非常に近い認識となっています。
これは、従来の処世術は役に立ちませんよという警告です。頭を柔らかくして、新しい時代の新しい処世術を身につけなければ1930年代みたいな苦難の歴史を体験することになりますよ、ということなんですね。
100年単位のサイクルの切り替わりの時期だというのであれば、コロナウイルスは何の関係も無いということになります。コロナウイルスが終息しても解決しない問題が起こっているのです。
それは自由主義経済、金融資本主義が衰退して、中央銀行がバランスシートを拡大することを厭わない国家資本主義の時代に突入するということかもしれません。もはや株式市場の時価総額は実体経済を映す鏡では無くなってしまっているということです。名目上、表面上は株式という形態が維持されていますが、実体は計画経済・管理市場の道具になってしまっている可能性があるのです。中国が勝つかアメリカが勝つかという話ではなく、自由主義金融資本主義から国家管理資本主義へと移行しつつあるのではないか、という問題です。
※参考URL、日銀の「資産買入等の基金の運営として行う指数連動型上場投資信託受益権等の買入等に関するお知らせ」
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2010/mok1012b.pdf
日本銀行は、2010年12月15日、142億円の指数連動型上場投資信託受益権ETFを購入し、12月16日に22億円のJ-REITを購入しました。これが世界主要先進国で始めて株式市場に直接資金を入れた中央銀行の先例となったのです。そんなことは国家資本主義であれば当然のことでありますから、アメリカだって購入を開始しても何らおかしいことはありません。今回のコロナショックではとうとうパンドラの箱が開けられることになるかもしれないのです。
※参考URL、日銀ETF買い入れレポート
https://www3.boj.or.jp/market/jp/menu_etf.htm
2020/3/19 2,004億円
2020/3/23 2,004億円
2020/3/26 2,004億円
これは直近の日銀ETF買い入れ状況です。なんと1週間で6012億円も購入しています。日本の人口1.2億で割り算しますと、1人あたり5010円となります。4人家族で2万円を既にばらまいているわけです。拾いに行かなきゃ!ココ掘れワンワン!と株式市場は反騰しました。
自国通貨建ての負債はいくら拡大しても問題は無いとする現代貨幣理論MMTに事実上片足を突っ込んでいる状態です。
「国債を買うのも株式ETFを買うのもバランスシートを拡大させて通貨供給量を増やすのだから同じじゃあないか?」という疑問は当然ありますが、やはりそこには「質的な違い」というものがあると思います。大手上場企業で「ETF経由で筆頭株主が中央銀行」という冗談のような事態が起こりつつあります。筆頭株主が中央銀行になった場合、当然、中央銀行は株主総会で議決権を行使することは有り得ないでしょうから、企業統治に重大な影響を与えることになります。つまり、既存の経営陣に対する無条件の信任が維持されてしまうということです。企業統治が歪められてしまったということです。「株式」と「株式会社」のあり方に質的な変化が起きているのです。21世紀の子供たちはこのことを良く理解する必要があるでしょう。株式市場は質的に変化し、もはや過去の市場とは別のモノに変わり果てているということです。その歪みが、社会の別の場所にしわ寄せされます。そのしわ寄せの結果に人類は驚愕することになるのです。
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