読了しました。東大特任教授、立命館大客員教授の村沢義久さんのEV革命に関する論考です。このテーマ、新聞雑誌やWEB記事でも良くあるのですが、やはり、こういう一つの書籍としてですね、じっくり読むことも大切だと思います。
印象深かった見出しを列挙しますので、皆さんも是非読んで考えてみてください。
1、「燃料電池車に未来はなし?」・・・水素の扱いが難しいことなどから、著者は燃料電池車の普及は困難と結論されています。管理人も10年程前までは燃料電池車がガソリン車の次に来るのかなと思っていましたが、リチウムイオン電池の進歩が凄すぎて考えが変わってきました。今では次世代電気自動車の本命はリチウムイオン電池の発展型と考えています。
2、「2025年までにEVシフト、先を走るノルウェー」・・・2025年には全ての新規登録車をゼロエミッションにするという方針がノルウェー政府により決定されています。ガソリンエンジン前面禁止なのでPHVすら禁止という凄い規制です。ノルウェーに行けばEV革命を肌で感じることができるかもしれません。
3、「中国が世界のEV市場をリード」・・・第三章17記事の図17は要注目です。2016年のEV+PHV保有台数が、中国64.9万台、米国56.4万台、欧州51.8万台に対して、日本15.1万台です。つい5年ほど前まで世界トップクラスだったのに、あっという間に置いて行かれています。新車販売の電動車比率は、ノルウェーが世界トップで29パーセントにも達しているとのことです。
全固体電池では、日本特殊陶業の挑戦が気になりました。
https://www.ngkntk.co.jp/special/story/story09.html
モーターについては、新規参入する日本電産とアイシンAWの動向が気になります。
https://www.nidec.com/ja-JP/product/news/2018/news0419-01/
http://www.aisin.co.jp/technology/innovation/zero_emission/
特にアイシンはATトランスミッション(世界シェア1位)がメインでしたから、電動化対応は命懸けの作戦ということになります。色んな技術分野で、新しい技術について発表されることがあるのですが、2種類のパターンがありまして、「儲かってる企業が全然別の分野の技術発表をする場合」と「儲かってない会社が夢のような技術を発表する場合」とに分かれるんですね。発表される内容は「本当ですか?」というようなすばらしいものばかりなのですが、すぐに出荷されるわけでもなく、論文発表されただけなので、検証のしようがありません。学校のクラスでの発言に例えて言うなら「優等生が発言した場合」と、「劣等生が発言した場合」の信憑性の違いとでも言うような違いがあると思います。だから、アイシンは現在成功している会社ですから、次の分野でもきっちり技術を完成させてくるのではないかと期待ができるのです。そう、あのトヨタが自動織機の会社から派生して成功したのと同じ話です。