アマゾンが描く2022年の世界

立教大学教授、田中道昭 著

ベストセラー本を読みました。やはりベストセラーだけあって、刺激に満ちています。2022年なんて賞味期限短いですが、逆に言えば短期で掘り下げて書くことで読者にアピールできるわけです。著者は2022年になったらまた別の本を書くつもりでしょう。

いくつか感じたことを列挙して感想を書いていきます。
 
※アマゾンゴーは店舗の概念を変える

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「行列なし」「会計なし」の無人コンビニ、アマゾンゴーでは、スマホが客を案内するので、従来みたいな表通りに立地する必要も無くなり、店舗の概念も変わっていくと予想されています。

※AI時代には「未来を創る力」が最も重要

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AI時代においては与えられた課題を解くより、自ら課題を見出して解決策を考える、「クリティカルシンキング」が重要になってくるとされています。長期の目標設定をする能力が大切になってくるということです。与えられた課題はAI(RPA)が全部やってくれるので、人間の出番は無くなってくるんじゃないかということですね。

※EC(eコマース)の消滅

アリババ創業者ジャック・マーは、「10年、20年後の未来にはECが消滅し、オンラインとオフラインが融合した「新しいリテール」が出てくるだろうと語っている」とのことです。この本の後半部分にはかなりの分量でアリババのビジネスについて分析がなされています。この本にはアリババの紹介本という性質もあると思います。

アマゾンというのは最初は書籍の通販の会社かと思っていたのですが、そのうち商材を広げていき、サーバーまで提供し、AIエンジンまで提供し、何の会社だか分からなくなっていますね。ジェフ・ベゾスは90年代末頃から「アマゾンはテクノロジー企業であって小売企業ではない」と言っているそうです。アマゾンの2016年決算で、AWSの売上は全体の9パーセントに過ぎませんが、利益は74パーセントを占めているというデータもありました。時代の要請にあわせてどんどん姿を変えているというわけです。これからもどんどん変わるのでしょう。

ところで、「アマゾンされる=to be amazoned」とはどういう意味だか分かりますか?アマゾンがエブリシングストア、さらにエブリシングカンパニーとして成長し、既存企業がアマゾンに顧客と利益を根こそぎ奪われることを意味するのだそうです。

また、「アマゾン効果=amazon effect」は、元々はアマゾンがECや小売り業界に影響を与えていることを意味していましたが、最近では様々な産業や国の金融・経済政策にまで影響を及ぼしていることを意味するようになってきたということです。アマゾンの成長に伴って、これらの意味も変わってきているのですね。


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