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驚いて下さい。そして、ジャック・マーの心中を慮りましょう。
言わずと知れたアリババグループの創設者にして会長、ソフトバンクグループ株式会社の取締役でもある、希代のイノベーターです。総資産390億ドルって、1ドル100円で換算すると、3兆9000億円ってことになりますね!
アリババのビジネスは、ECサイト(BtoB,BtoC)から、アリペイなど金融サービス、クラウドサービスまでものすごい勢いで拡大していますが、ちょうど1年後、年齢55歳の誕生日にアリババ会長を退き、慈善事業へ舵を切ると宣言してしまったのです。
アリババは「少なくとも102年継続する企業」という理念を掲げています。何故かというと、アリババは1999年に設立されたので、102年継続できれば、20世紀から22世紀まで3世紀に及ぶ希有な企業となることができるからです。彼らの文化、ビジネスモデル、システムは、長期的に持続可能性を達成するために構築されているということです。経営者が変わっても継続していく必要があります。ジャックマーの会長引退は、持続可能性を考えた場合の「普通の結論」ということなんでしょう。
日本の歴史で言えば、織田信長とか徳川家康が早々に家督を子供に譲って体制の継続を図ったという前例がありますね。現代のIT企業で言えばマイクロソフトのビルゲイツ会長が2008年に52歳でマイクロソフトの仕事を引退してビル&メリンダ財団の慈善事業に専念することになったのが思い出されます。
シンギュラリティの到来後に、人類が知的労働から解放された場合に、なにをやるべきか。普通の人でも、60歳になって年金で生活できるようになった場合に、何をして余生を過ごすか。この問題について、ジャック・マーと、ビル&メリンダの選択はひとつの答えを提供していますね。勿論、趣味やレジャーもあるのですが、それに加えてボランティア活動が大切ということですね。ボランティア活動をすることによって、自分自身が幸福感を味わうことができるんですね。まさに「情けは人のためならず」。お金は十分稼いだし、世界を変えるイノベーションも達成した、最後にやりたくなるのは慈善活動というわけなんですね。
近所の公園やゴミ集積場の掃除でもよいですし、小学校の横断歩道の見守り活動でもよいですね。何でも良いからボランティア活動をやると心が満たされるということです。お子さん方にはなかなか想像が付かないかもしれませんが、30代、40代、50代の皆さんは、リタイアが近づいています。シンギュラリティの到来によって、AI革命の進展によって、リタイア時期が早まることが予想されます。キャリアデザインが変わるんですね。
今から50年前は、18歳で高校を卒業したら、仕事を始めて55歳で定年になって(労働期間37年)、65歳とかで死ぬという人生モデルでしたが、今は、22歳で大学を卒業して、65歳で定年になって(労働期間43年)、80歳で死ぬという人生になっています。これが、25歳で大学院を卒業して、30歳まで自分探しをやって、30歳から50歳まで働いて(労働期間20年)、ボランティアを40年間やって、90歳で死ぬという人生になるかもしれないのです。仕事の期間よりもボランティアの期間の方が長いんですね。
子供時代から、将来の仕事だけでなく、「将来のボランティア活動」を考えておくことも必要だと思います。