漫画村、漫画タウン、海賊版サイト問題

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/180413/gijisidai.html
http://ir.kadokawa.co.jp/topics/20180413_kj7h2.pdf
https://www.shueisha.co.jp/info/180413.html
 
政府の知的財産戦略本部会合・犯罪対策閣僚会議のインターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策(案)」等についての発表を受けて、KADOKAWAと集英社が緊急声明を発表しました。両社とも「創造サイクル」「日本の文化力」を守るため「厳しく対応してまいります」という内容です。

漫画村の主催者はツイッターで、「いくらサイトを潰したって、もう漫画の売り上げは増えないよ。みんな無料で音楽聴くし、無料でエロ動画を見るし、もう出来上がったコンテンツにお金を払う時代じゃないんだよ。漫画だけを叩くのはおかしいんだよ。」 「ネットで無料で読んでる人と本屋で立ち読みしてる人は同じだよ。問題なのは、無料で読める環境が身近になったのに、本を売ることでしかお金と交換できない仕組みだよ。出版社総出で新しいシステムを作らないと衰退していくよ。」と主張しています。

これは法律で言えば著作権法違反にあたるかどうかの問題で、出版社側とサイト運営者側が法廷で争えば良いと思います。まあ、無料で売り物の漫画が読めてしまうということは、ちょっとマズイとは思いますけどね。norikoe.net では、この是非には言及致しません。

ただこれは、ジェレミーリフキンの「限界費用ゼロ社会」の文脈で考えますと非常に興味深い現象だと思います。限界費用ゼロ社会においては、あらゆる物品・サービスの価格がゼロに近づき、従来の大手企業は利益を上げられなくなると予言されているのです。作家と編集者が協力して漫画を制作し、印刷し、プロモーションし、書店や通販で販売するというビジネスモデルは当面続くとは思いますが、これとは別に、kindle direct publishing (KDP)みたいに作家に直接お金が入るようなシステムのビジネスモデルがこれから増えてくるかも知れないなと思いました。

野口悠紀雄さんは、「仮想通貨革命で働き方が変わる」という本で、これからは会社組織に属さず、仮想通貨を使った少額決済の仕組みを使ったフリーランスの働き方が増えてくるだろうと提言なさってますね。それが主流になるかどうかは別として、ブロックチェーンなどフィンテックの進展により、そのような働き方がどんどん可能になってきていることは事実でしょう。

しかし、KDPだって、完全ベーシックインカムの時代になり、人々が金銭に興味を失った場合は儲からなくなってしまいます。どこまで行くのか分かりませんが、海賊版サイト問題は、抗いがたい世の中の趨勢に動かされている部分もあるということでしょうか。

コンピューターソフトウェアの世界では、フリーソフト運動、GNUプロジェクトなどにより、OSやオフィスソフトなど主要アプリケーションにおいて、かなりの部分で、無料化が達成されていますね。一足早く、限界費用ゼロが実現していますね。もう何十年前か、gccに一番最初に触れた時、標準ライブラリも含めて、「なんでこんな凄い労力の塊が無償で提供されるのか!」と心底驚いたものです。著作権の分野で言えば、青空文庫ですかね。膨大な文学作品が無料で読めます。

ですから、これから、漫画や音楽や映画でも、「フリー素材」が増えてくるかも知れません。有料がメインで無料が例外というのが従来の形でしたが、これが逆転し、無料が原則で有料が例外という時代が来るかも知れません。無料動画を提供して広告収入で稼ぐyoutuberなんかは一種の映画監督みたいなものかもしれませんね。そうなりますと、漫画タウンも広告収入が無くなり儲からなくなるというわけです。