ダンパー不正の根本原因

免震・制震ビルやマンションのダンパーの検査データが改ざんされていたなんて驚きです。免震建物の構造計算では、免震告示に定められた計算方法により、「地震力の低減」が認められているので、免震制震装置を除いた建物そのものは、普通の耐震建物よりも「コンクリが少なく設計されている」ので、免震制震で不正がありますと、普通の建物よりもむしろ危険な建物になってしまうんですね。免震制震建物というのは、コンクリを節約するための設計方法だってご存知でしたか?柱や梁が細くなってデザイン性が向上するというメリットもあるでしょう。免震制震建物ですと言えば多少坪単価が上がっても売りやすいというメリットもありますね。加速度の低減率は最大で6割減少です。免震告示の該当部分を引用します。

※免震告示「免震建築物の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める等の件(平成12年10月17日)」
http://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/pdf/201703/00006509.pdf
>Fh 免震層の振動の減衰による加速度の低減率(〇・四を下回る場合にあっては、〇・四とする。)

※ダンパー不正ニュース記事検索
https://www.google.co.jp/search?q=%E3%83%80%E3%83%B3%E3%83%91%E3%83%BC%E4%B8%8D%E6%AD%A3&tbm=nws

この原因は、震災復興需要で人員不足だったとか色々言われているのですが、真の理由は生産性革命の進展にあると思います。あらゆる産業の生産性が向上し、価格低下圧力が強まり、モノを造っても儲かりにくい情勢になってきているということですね。

「限界費用ゼロ社会」において未来学者ジェレミーリフキンさんが主張しています。

「財とサービスの大半がほぼ無料となり、利益が消滅し、所有権が意味を失い、市場は不要となる」

極限生産性の時代には、ありとあらゆる企業が利益を上げられなくなってしまうのです。それで、利益を確保するために、検査データを改ざんする必要性が出て来るわけです。そういえば、自動車業界や鉄鋼業界でも、燃費不正とか、排ガス不正、検査データ不正とかありましたね。どちらの業界でも利益率が低下してきていることが原因でしょう。

こういう問題を防止するためには、限界費用が少しずつゼロに近づきつつあるので、利益というものは、これからどんどん少しずつ消滅していくのだ、ということを関係者の全員が認識する必要があります。利益が減っていくことを前提に企業経営していれば検査データの改ざんなどする必要が無くなるわけです。