第3の超景気

三菱UFJモルスタ証券の景気循環研究所の所長、嶋中雄二氏の新著、やっと読了です。この本の題名は嶋中雄二氏の著作に触れたことがない人には意味がわからないかもしれませんが、この本を読めば意味が分かるようになります。スッキリ理解できます。

簡単にネタバレしておくと、景気循環には4種類の波長があり、
①在庫投資の増減を捉える周期5年程度のキッチンサイクル、
②設備投資の増減を捉える周期10年程度のジュグラーサイクル、
③建設投資の増減を捉える周期25年程度のクズネッツサイクル、
④インフラ投資の増減を捉える周期56年程度のコンドラチェフサイクル、が観察されています。

そして、全部のサイクルが上昇局面にある場合を、「ゴールデンサイクル」と呼び、
長期の2つのサイクルに、①または②のサイクルが併せて3つ上昇局面にある場合を、「シルバーサイクル」と呼び、
長期と超長期の2つのサイクルが揃って上昇している場合を、「ブロンズサイクル」と嶋中氏は名付けました。

ブロンズサイクルにある場合、短期的に景気下降場面があったとしても、全体的に長期的に上昇基調が保証されている「景気を超越した」いわば「超景気」の局面にあると評価しているのです。

そして、この長期と超長期の2つのサイクルが重なる局面は、日本では明治維新の経済統計を取り始めた1885年以来、3回目に体験しているのが、2011年から2025年までの時代であると評しているわけです。短期的には、2019〜21年頃に一旦景気後退局面も予想されるけれど、長期的な上昇基調があるので「心配するな!」という励ましのお言葉なんですね。複合景気循環論というのは、純粋な経験則なのですが、在庫調整とか、設備投資とか、イノベーションとかの進展に基づく、実績のある分析方法なんですね。

数学的に見たら、GDPとか株式市場時価総額とかをFFT分析して周波数抽出したらどうなるのかなと思いますが、なかなか数学だけでは割り切れないものがあるのかもしれません。人間の目でグラフを変形して、分かりやすく提示してくれているんですね。

さて、シンギュラリティの時代に、生産性革命が進展して、大企業が利益を上げられなくなった場合、景気循環の山と谷が低く浅くなっていくことも想定されちゃうわけですが、それでもやっぱり、景気のうねりを「波乗り」することができれば、それだけで経済的に困らない生活を送ることができるのではないかと期待しています。例えば1億円を継続的に3パーセントで回すことができれば、年収300万円ですから普通の4人家族であればなんとか生活する方法があるはずです。3パーセントを5年間のサイクルで稼ぐのであれば、15パーセントを5年間で稼げばよいわけで、5パーセントで3年間儲けて2年間休むという戦略も考えることができますね。「お金は休ませることも大事である」と言われますが、まさにコレですね。元手が1億円必要であれば、8千万とかの新築マンション買ってる場合じゃないですね。