ブルーオーシャン戦略

2009年発売の「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメントを読んだら」が大ヒットした岩崎夏海さんのシンギュラリティ対策本です。当サイトの問題意識と近かったので一気に読めました。「もしドラ」読んだこと無かったんですが、生き残り戦略を見つけるための作戦が分かりやすく書いてあって非常に参考になります。

著者の問題提起は、昔どこにもあった駅前のまずいラーメン屋が無くなったのはどうしてか?友人との会話から問題提起して、それはインターネットの発達と口コミサイトの発達で競争が激化したことが原因であると分析し、あらゆる業種で競争が激化し、わずかな勝者と大部分の敗者に分かれる時代がやってきたと警鐘を鳴らし、これに生き残る作戦を提示してくれているわけです。

その一つが「ブルーオーシャン戦略」です。直訳で青い海、そう、競争相手の誰も居ない平和な海を目指せということです。ファーストペンギンとも呼ばれますね。競争激化社会は、「競争しない」という作戦で乗り切れと言っているわけです。競争の無い世界を探せ、というわけです。対義語は「レッドオーシャン」、血で染まった海、血で血を洗うような激しい価格競争が行われる業界を意味します。

ブルーオーシャン戦略はドラッカーが言う「イノベーション」と同じことなんだそうです。新しい価値を探すために、マーケティングが大事になると言います。真の顧客を見つけ出し、適切な商品やサービスを提供せよと言うわけです。但し、成功体験に縛られる「イノベーションのジレンマ」には気をつけて、イノベーションを継続することが大事だと言っておられます。

そして、この本の第二部に提示された「4つの方法」、これが目からウロコなんですね。

1、今あるものを捨てる

ドラッカーの言う「イノベーションの戦略の第一歩は、古いもの、死につつあるもの、陳腐化したものを計画的かつ体系的に捨てることである」という戦略です。成功体験はあるが、それがピークを過ぎ、下火になりつつあるもの、それはやがて消え去るものなんですね。消え去るだろうけど、今現在は一応生きている、その商売にしがみつきたくなってしまうんですね。著者は捨てた成功例として、アップルを挙げて居ます。スティーブジョブスはアップルコンピューターの成功体験を捨てて莫大な費用を掛けても社名を「アップル」に変えてしまい、新たなビジネスモデルをゼロから発掘してしまったのです。

2、本質を見極める

古いものを捨てたら、新しい価値を見つけるためのコツを活用します。それは、長期スパンで考えて、ものごとの本質に迫るという戦略です。現在の短期スパンで考えた場合の「常識を疑う」という作戦になります。仕事の場面では、目の前の顧客じゃなくて、誰が目の前の顧客のパトロンなのか、「顧客の顧客」が誰なのか、それを考えろと言っておられます。

3、隣にずれる

イノベーションは盲点に潜んでいる。灯台もと暗し、である。アップルは、コンピューターから、iPod にずれて、さらにiTunes にずれて行ったのが成功したと分析しています。アマゾンだって、ネット書店から、家電も含めた総合販売サイトへ、電子書籍からキンドルへ、そしてAWSへとどんどんずれているわけです。グーグルだって検索から広告へ、さらにグーグルマップから自動運転へとずれまくっているわけです。著者は、ずれる作戦として、「人から頼まれた気の進まない仕事」を頑張れとアドバイスしておられます。そういうところにニーズ「予期せぬ成功」が潜んでいるのだそうです。また、ずれるために「2つの特技を作れ」ともアドバイスしています。スペシャリストよりジェネラリストを目指せということです。TEDを見て、情報発信力、プレゼンテーション能力を磨きましょう。

4、現場に還る

インターネット時代、情報化社会になって、情報の価値が下がり、かつ、情報の最前線も変わってきたということです。ネットでは入手できないような、現場の肌感覚が大事になってきているのです。現場体験を重視せよというわけです。音楽業界では、CD販売よりもライブ収入が増えているし、AKB48の大ヒットは秋本康が現場=劇場で顧客の反応をじっと観察することにより、握手会や総選挙という新しいアイデアを次々にヒットさせることができたそうです。

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どうでしょう、読むと分かったような気になりますが、今現在の自分自身の目の前の仕事や、子供の具体的な進路でどのように活かせば良いのか、その具体的なことは当然ながら一切書いてないのです。それは各自が上記ヒントを活かして考えて自ら編み出して行かなければならないんですね。競争を捨ててブルーオーシャン、言うはやすし行うは難しとも言いますが、漕ぎ出したいですね!


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