デジタルアニーラ?

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なにやら凄いものが出て来た!とお感じになりましたか?

富士通が量子コンピューターを出した!と感じましたか?

私は「デジタル」と「アニーリング」って「天才バカボン」みたいだなあ、矛盾じゃないの?と思いました。

このニュースを正しく理解するためには、fpgaと非ノイマン型コンピューターを理解する必要がありますね。

Screenshot of ja.wikipedia.org

 

https://1qbit.com/our-thinking/research-papers/

FPGAは内部の論理回路をプログラミングで変更できる集積回路ですね。1980年代からありました。FPGAを使えば、特定の計算に特化した「専用計算機」を造ることができるんですね。命令を解釈する手間が省けますので、専用計算機の計算速度は汎用計算機とは比較にならないほど高速にできます。

非ノイマン型コンピューターというのは、現在主流となっているプログラムを順番に実行していく形式(ストアードプログラム方式)とは異なる計算機ということですね。それをコンピューターと呼べるのか、という疑問も沸いてきますが、計算できるんですからコンピューターと呼んで良いでしょう。データ駆動型コンピューターとも呼ばれます。勿論、人間の脳も非ノイマン型です。これも、ノイマン型の登場と同時に研究が始まっており、とても古い技術です。

じゃあ何が新しいのかと言えば、専用計算機のアーキテクチャーに量子コンピューターの考え方を反映させたというところなのでしょう。組み合わせ最適解の探索に特化した計算機ということですね。非ノイマン型コンピューターを使って量子力学の実験シミュレーションをやるという感じでしょうか。

https://ja.wikipedia.org/wiki/量子焼きなまし法

量子アニーリング(焼きなまし)というのは、温度を下げていくことにより量子のゆらぎが小さくなっていく過程で観測される量子状態が、特定の関数の最小値を解くことに等しいという性質を利用した計算方法です。計算というより観測に近い感じですね。実験装置の実験結果を測定して、「これは計算したのと同じことだ!」と主張して結果を利用しようとするのが量子アニーリングマシンです。

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カナダのD-WAVE社は、この量子アニーリングを使った量子コンピューター D-Wave One を2011年に発表しました。発表されたときは、「度肝を抜かれた」というよりは、「ほんまかいな」という感じでしたね。世界中の専門家が試験しましたが、「どうやら本当に量子現象を利用したコンピューターと言えなくもないもののようだ」というのが現在の定説です。

この考え方をニューラルネットワークに応用した場合に、AIの能力が指数的に向上する可能性が指摘されています。

富士通さんの新しいチャレンジも、ぜひ応援したいですね。


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