Earth is now our only shareholder.
パタゴニア創業者イヴォン・シュイナードさんが書いています。
彼がパタゴニア全株式4300億円分を環境基金に寄付して経営を退いたというニュースが報じられました。売却じゃなくて寄付というのが珍しいのです。これは従来型資本主義の成功した経営者の行動とは一線を画しています。日本の政府が言っている「新しい資本主義」ともまた異なるものです。いったい何が起きているのでしょう?
https://www.google.com/search?q=Holdfast+Collective&tbm=nws
ロッククライミング愛好家イヴォン・シュイナードは、1957年に登山用具の販売を始め、1970年からアパレル販売を開始し、1973年にはパタゴニアブランドの店舗を開設しました。
それ以来、次のような珍しい方針の経営を続けてきました。
- 1985 年以来、総売上の 1% を環境保護団体に寄付し続けています。
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環境保護活動・温暖化防止に会社として積極的に活動し、社員にも政治活動を奨励している。
- 国政選挙の投票日には全店舗を休業にしてでも、社員に投票に行かせた。
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各社員が自分の判断で、たとえ平日の勤務時間中であろうとサーフィンやサイクリング、クライミングなどのレジャーに外出して良いという、極めて柔軟なフレックスタイム制を導入している。
- 1984年から社内託児所「グレート・パシフィック・チャイルド・デベロップメント・センター」を開設している。
- 1996年に100%オーガニックコットンのみを使用しはじめた。
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2021年、「慣例に縛られない」と発表し、12月25日から1月2日まで店舗を閉め、従業員に休暇を与えた。
アウトドア用品の販売ブランドを運営して、地球環境の持続可能性と温暖化防止に企業としても積極的に関わっていく方針だったのです。創業者イヴォン・シュイナード氏にとっては、経営権を持っていた時も、手放す時も、同じ方針に従っているのでしょう。経済的規模を追求するのではなく、地球全体の持続可能性を追求しているわけです。
その考え方が、ユヴァル・ノア・ハラリさんが「21レッスンズ-21世紀の人類のための21の思考」で提示した「新しい物語」のヒントになるかもしれません。ITテクノロジー(AI)革命と、バイオテクノロジー(遺伝子編集)革命の「双子の革命」が進展した時代に、人類が依拠すべき意味の大系(イデオロギー)のことです。
「21レッスンズ」第19章「教育」の冒頭に次のような記述があります。
「人類は前代未聞の革命に直面しており、私たちの昔ながらの物語はみな崩れかけ、その代わりとなる新しい物語は、今のところ一つも現れていない。」
この革命後に始まる「新しい物語」の時代を子供たちは生き抜かなければなりません。その時に、パタゴニア創業者の考え方が参考になるかもしれません。お金じゃなくて、持続可能性SDGsを常に求めていくということになります。大学を出て会社に就職してお金を稼ぐ、という物語ではなく、大学で学んだ事を活かしてSDGsの活動をして満足を得るというのです。生産性革命が進展すると、究極的にはお金が不要な時代がやってくるという事になります。お金を稼がなくても、人生ヒマになったりしないように、やるべきことを考えておきましょう、ということです。
※参考書籍
※参考記事
新しい物語
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