フォーディズムは、20世紀初頭からヘンリー・フォードが中産階級にも購入できるT型フォード自動車の大量生産を行うことによって切り開いた20世紀型資本主義経済の考え方です。未来学者ジェレミーリフキンさんの分類によれば、第二次産業革命というものです。
ジェレミーリフキンによる産業革命の分類
第一次産業革命 | 第二次産業革命 | 第三次産業革命 | |
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主要原動力 | 石炭蒸気外燃機関 | 石油燃料内燃機関 | 再生可能無料エネルギー |
起源 | 1769年、ジェイムズワットが蒸気機関の特許取得 | 1858年、ジャン=ジョゼフ・ルノアール が内燃機関エンジンを発明 | 1974年、最初のTCP/IP仕様書RFC675発表 |
発展原理 | 蒸気機関で石炭採掘、都市人口増加 | 大量生産大量消費 | ムーアの法則、メカトーフの法則 |
時代 | 19世紀 | 20世紀 | 21世紀 |
絶頂期 | 1890年代、垂直統合企業の株式公開 | 2008年7月、原油1バレル147ドル史上最高価格 | 未到来 |
通信手段 | 蒸気印刷機と蒸気機関車による鉄道郵便 | 電信・電話 | インターネットによるデジタル通信 |
移動手段 | 蒸気機関車 | 自動車、飛行機 | VRにより移動不要 |
主要企業 | 鉄道会社 | 自動車会社 | GAFA+BATH |
経済 | 自由放任市場資本主義 | 有効需要修正資本主義 | シェアリングエコノミー |
フォーディズムは主に3つの条件によって成り立っていました。
(1)部品の標準化(手工業から脱却し、非熟練労働者が機械と金型を用いて生産する)
(2)組立ラインは、専用器具や専用設備を用いることにより非熟練労働者が担当できる。
(3)労働者には、より高い「生活」賃金が支払われるため、彼らが作る製品を購入する余裕がある。
勿論、設計開発部門や経理部門など、高度な知識と技能を有する職員も必要ですが、大量生産大量消費社会を切り開いたのは大多数の「非熟練労働者達」だったのです。自動車を造れば造るほど、労働者が自動車を買うことができるようになり、益々自動車が売れ、生産体制が増強され、益々自動車が製造されるという好循環が形成されました。20世紀後半には日本のトヨタ自動車も同様の好循環を実現し、トヨティズムと呼ばれました。21世紀のアベノミクスもトランポノミクスもこれを目指していることは明白です。過去の栄光を再び再現する!という有権者のノスタルジーに訴えかける政策なのです。ドナルド・トランプの大統領選におけるキャッチフレーズは We will make america great again! でしたね。
しかし、大量生産大量消費社会は、工業化の世界伝播により発展し続けることが難しくなりました。いわゆる「コモディティ化」の問題です。
21世紀には、産業構造が変化し、サービス業の比率が向上しています。シェアリングエコノミー、ギグエコノミーの進展により、労働者は事業主のビジネスの顧客とは見なされなくなりました。これがいわゆるポストフォーディズム、アフターフォーディズムの問題です。第二次産業革命が終わり、第三次産業革命に移行しているのです。
ですから21世紀の子供たちは、フォーディズムに憧れるよりも、「フォーディズムは終わった」という事実を正しく認識し自らの道を切り開いてゆく必要があります。
ヘンリーフォードの有名な言葉も御紹介します。20世紀の産業革命を牽引した言葉ですが、21世紀のAI革命でも活きてくる言葉だと思います。
https://www.azquotes.com/quote/1124718
If you don’t think of the future, you won’t have one.
「未来を考えないものに、未来はない」
※参考記事
コモディティ化
ギグ・エコノミーの時代
※参考書籍
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