戦国時代の戦乱が収まって100余年、江戸幕府6代将軍徳川家宣の時代、今の九州肥前佐賀藩の武士、山本常朝が述べた武士道の精神を書き留めた秘密の書「葉隠」が再び注目を浴びています。最も有名な「武士道とは死ぬことと見付けたり」という文言がありますが、他にも沢山の珠玉の言葉が散りばめられています。それらの言葉を鑑賞し、解釈し、来るべきシンギュラリティの時代に生かすべきだと思います。管理人が感動した部分を御紹介致しますので、各自本書を手に取って考えて見て下さい。
・「時代の風といふものは、かへられぬ事なり。段々と落ちさがり候は、世の末になりたる所なり。(中略)今の世を、百年も以前の良き風になしたくても成らざることなり。されば、その時代時代にて、よき様にするが肝要なり。
(意訳)時代の気風は変えることができない。段々と堕落していって、世も末の現況に至っている。これを百年前の良い時代に戻すことはできない。だから、時代に合わせて良い様にするのが大事である。
(解釈)常朝が言う「百年も以前の良き風」というのは、戦国時代の真剣勝負をしていた武士の時代ということですね。平和な時代になって武士が堕落したと嘆いていても仕方がない、新しい時代の新しい武士を切り開けと言っているわけです。これは21世紀のシンギュラリティ革命にも応用できそうです。時代が変わっても、それを嘆くより楽しめと言っているわけです。
・「事に臨んで先づ其の事を差置き、胸に四誓願を押立て、私を除きて工夫をいたさば、大はづれあるべからず。」
(意訳)大きな仕事をするときは、他のことは差し置いても、「四つの誓願」を念頭に、私心を捨てて工夫すれば、失敗することは無いよ。
(解釈)四誓願というのは、常朝が提唱する4つのモットーで、(1)武士道において後れ取り申すまじき事、(2)主君の御用に立つべき事、(3)親に孝行仕(つかまつ)るべき事、(4)大慈悲を起し人の為になるべき事、です。これは私心を捨てるというのと同じことですね。しかも、この四誓願というのは、どれも矛盾せず、ひとつの理想を目指していることだと思います。武士道を突き進み、主君(究極的には世界全体)のためになり、親孝行にもなり、世のため人の為になるようなことをせよ、それは矛盾しないし、それさえ守れば失敗はないよと言っているわけです。シンギュラリティ革命でも、私心を捨てて真っ直ぐ進めば心配は要らないよと教えてくれています。
・「人の為になるべき事。これをあらゆる人を御用に立つ者に仕(し)なすべしと心得べし。」
(意訳)四誓願の「人の為になるべき事」とは、その人に社会貢献させることと心得るべきである。
(解釈)「情けは人の為ならず」ということわざがありますね。これは、他人に温情を掛けることは自分のためなんだよと教えているわけですが、常朝は、「その人に仕事をさせることが人の為になることだよ」と言っているわけです。シンギュラリティ革命も、あらゆるひとが社会貢献できるような世の中に進んで行くと思われます。シンギュラリティ革命は社会貢献がキーワードなのです。自分の進むべき道が分岐点に差し掛かった時に、「社会貢献の道」と「社会貢献でない道」があった場合は、迷わず「社会貢献の道」を進みましょうということですね。
※参考記事
SDGs
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