電力自由化で開設された電力卸売市場のスポット価格で、2020年5月11日受け渡し分の電力価格が9時半~14時まで1KWhあたり0.01円を記録したということです。
https://www.google.com/search?tbm=nws&q=電力価格0円
報道では、新型コロナウイルス流行による緊急事態宣言で電力の法人需要が落ち込んでいることや、冷房も暖房も控えめな5月の季節要因なども理由とされていました。晴天の9時~14時は太陽光発電量が増えることも一因であるようですが、とにかく「エネルギー無料化」が現実化したということです。
このニュースには前触れがありまして、2020年4月21日にWTI原油がマイナス40.32ドルを記録したという事実がありました。これも原油需要の落ち込みと、サウジアラビアとロシアの減産合意決裂などが原因とされていました。
※参考記事
欧州では電力の完全自由化が先行しており、マイナス価格で取引が成立する場合もあります。これは、発電所をストップする経費よりも、マイナス価格で引き取って貰う経費の方が安上がりであるということを意味します。
日本でも電力のマイナス価格制度の導入が検討されていますし、2018年10月13日には太陽光発電の出力抑制、つまり電力会社が再生可能エネルギーとの接続を切断し電力の買い取りをしない、という事態も起きています。
※参考記事、コモディティとしての電力
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjaros/11/1/11_1/_pdf
※参考資料、電力・ガス取引監視等委員会検討資料
https://www.emsc.meti.go.jp/activity/emsc_system/pdf/036_04_00.pdf
※資源エネルギー庁、なぜ、太陽光などの「出力制御」が必要になるのか?
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/qa_syuturyokuseigyo.html
※参考資料、九州本土における再エネ出力制御の実施状況について
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/shin_energy/keito_wg/pdf/021_01_00.pdf
米国の未来学者ジェレミーリフキンは、「限界費用ゼロ社会」において、エネルギーの無料化を予言しています。
第5章「極限生産性とモノのインターネットと無料のエネルギー」に次のような一節があります。
インターネット・テクノロジーと再生可能エネルギーは、融合してエネルギー・インターネットを創設し始めている。エネルギー・インターネットは、社会における発電と送電の仕方を変えるだろう。
太陽光エネルギーや風力エネルギーの採取テクノロジーが指数関数的に向上し続けているというのです。それはコンピューティングの分野におけるムーアの法則と同じ作用を社会にもたらすといいます。情報と同じようにエネルギーも低コストで流通し、無料で利用できるようになると予測されているのです。
新型コロナウイルス流行による一時的な現象ということではなく、将来的には恒久的にエネルギーが無償化されることが見込まれています。それが自分自身の生活にどのように関係してくるか、考えてみることが必要です。
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