経済学部以外の全員が読むべき本です。中学と高校の教科書から引用した経済学の主要テーマを分かりやすく解説しちゃう本です。経済学の主要テーマは、人類がアダム・スミスやデヴィッド・リカード以来の200年で積み上げてきたマクロ経済学とミクロ経済学、どうすれば人々の生活が楽になるのかについての研究ですね。
印象に残った内容を、中学高校教科書の引用も含めて、いくつか御紹介致します。
貿易黒字の正体・・・清水書院「高等学校 現代政治・経済」収支が黒字であることは、国内の需要(内需)が不活発で、国民の多くが貯蓄を行っている、、、。逆に国内消費が活発で、国民の多くが投資をおこなうような場合、、赤字となる。・・収支の問題は、国際間の問題であると同時に国内における経済活動の反映でもある。
国内で生産するよりも消費する量が少なくなれば貿易黒字になるし、外国からの投資が入ってくればそれは貿易赤字となる。貿易黒字だから景気が良いとか貿易赤字だから景気が悪いということは無く、逆に、好況時には貿易黒字が減少し、不況時は貿易黒字が増加する傾向があるということです。
※参考URL、財務省貿易統計
https://www.customs.go.jp/toukei/latest/index.htm
日本が貿易立国だったことなど一度もない・・・日本のGDPに占める貿易黒字の割合は一貫して低く、2パーセント以下の数値でした。1960年0.5パーセント、65年1.4パーセント、70年1.3パーセント、96年0.4パーセント、2001年0.7パーセント、06年1.4パーセント、16年1.0パーセント。
経済学史上の最強理論、比較優位・・・教育出版「中学社会 公民ともに生きる」P174貿易によって、それぞれの国や地域は、得意分野を生かしながら、自国で不足しがちな物資や製品を互いに補い合うことができるのです。イギリスの経済学者リカード(1772-1823年)は、自由に生産物の交換を行い、国際社会全体の利益を増やそうとする「自由貿易」を提唱しました。・・・それぞれの国が、他国と比べると得意といえる分野(比較優位がある分野)に生産を特化し、それを交換し合うことで、自国だけで生産した場合より多くの財を手に入れることができるのです。
比較優位論がそんなに大事だとは知りませんでした。
経済学部の出身者なら勉強するのでしょうけど、他の学部出身者はリカードの比較優位論を良く知らないですね。何故、あんなに反対があるのにTPPが頑張って推進されているのか、この本を読んで初めて理解することができました。それは単純に国民全体の利益になるからやっているのです。一時的に、特定の農産物の生産者が大変なことになるかもしれないが、やがてそれぞれの得意分野に「変わって」行くことにより大きな果実を得ることが出来るんですよ、ということなんですね。
インターネットのネット通販が、どんどん拡充していき、国際取引も頻繁になっていけば、国際貿易の場面だけでなく、個人の消費や仕事の場面でも利益をもたらす可能性があります。「世界で稼ぐ」ということが目前に迫っているかもしれないのです。
自動翻訳が進歩して、ウェブページなどは即時に自動的に翻訳される時代となりました。ナレッジワーカーにとっても、言語の壁が消失し、世界で稼ぐチャンスが到来していると思います。21世紀の子供たちは、世界に売っていく、世界で稼ぐことを意識する必要があるでしょう。
コメントを残す