ネイピア棒=計算機の起源

竹内伸、実物でたどるコンピュータの歴史~石ころからリンゴへ~

昭和の時代も知っている管理人としては非常に興味深い本です。その中で、機械式計算機の起源ともいうべき計算道具=計算具が紹介されておりまして、今まで知らなかったのでとても驚きました。この本を読むまで計算機の起源はソロバンなのかなと思っていましたが、「ネイピアの棒(ネイピアの骨)」が起源だと分かりました。計算機の起源は、究極的に言えばAIの起源ということになります。

Screenshot of ja.wikipedia.org

16世紀のスコットランドの数学者、ジョン・ネイピアは、複利の利率上昇率の上限を定めた数、自然対数の底として使われるeネイピア数を発見した人ですが、そのネイピアさんが発明した棒を使うと任意の桁数のかけ算を、一桁の足し算だけで簡単に手計算することができてしまうのです。小学校で習う筆算の九九を予め計算してくれちゃっている棒です。この棒の数字を斜めに足し算していけば機械的に掛け算の計算が出来てしまいますから、この機構を歯車の機械で実装できれば「機械式計算機」の出来上がりとなるわけです。

ネイピアは対数表と対数計算尺も発明したそうで、驚くべき天才です。ネイピアの骨はシッカートの計算機に使われていました。

足し算は、「ライプニッツの段差歯車(Stepped Drum)」を使って実装します。

機械式計算機と言っても、意外にシンプルな仕組みで動いていることが分かります。ライプニッツの歯車をどんどん改良して機械式計算機が便利になっていったのですね。そして、その機械式計算機の歯車を電気スイッチに置き換えて、計算手順(プログラム)も可変にしたのが、電子計算機になります。コンピュータの内部では意外に単純な作業が繰り返し行われていることが分かります。

Screenshot of www.tus.ac.jp

ネイピアの骨(棒)と機械式計算機は、飯田橋にある東京理科大の近代科学資料館で見学することができますが、残念ながらコロナで休館中です。休館が明けたら是非見学したいですね。AIの起源を体感し、AI対策をどのように考えるべきか実感できることでしょう。


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