3極管増幅器

シンギュラリティを乗り越えるために、電気の知識が必要です。コンピューターの中で何が起こっているのか、理解する必要があるでしょう。勿論、電気がデジタルデータとしてスイッチングされ、流れているのです。人類が電気を発見したのは、最初は雷、静電気でしたが、やがて、真空ポンプが発明され、真空管内に電極を挿入し高電圧を掛けると、電流が流れることが分かりました。2極管の発見です。

2極管についてはこちらをご覧下さい。

2極管発明後、2極管の電子の通り道に電極を挿入して様々な電位を与える実験が行われ、挿入された電極(グリッド電極)の電位により、最初の2極間の電気の流れに影響を与えることができるとわかりました。

※wiki解説、3極管増幅作用

Screenshot of ja.wikipedia.org

 

具体的に言えば、挿入電極(グリッド電極)にプラスの電位を与えると、フィラメント(カソード電極)から飛び出した電子が引き寄せられ、プレート(アノード電極)まで到達することができるが、挿入電極(グリッド電極)にマイナス電位を与えると、電子も同じマイナス電位を持つので反発しあい、プレート(アノード電極)まで到達できなくなるということです。グリッド電極を操作することにより、カソードとアノード間の電流を操作できるということは増幅作用があるということですし、電子スイッチとして使うこともできるということになります。

2極管は、ふたつの電極があるので、diode=ダイオードと呼ばれますが、3極管は3つの電極を持つので、triode=トライオードと呼ばれます。デュオ、トリオと同じ語源ですね。

3極真空管の発明(1906年)により、人類は、「電圧増幅」と「電流増幅」と「スイッチング回路」を手に入れることになりました。それ以前にも、トランス変圧器の巻線の回数の比率を変えることで電圧増幅は出来ましたが、真空管みたいに無段階で自由自在に増幅できる回路はトランスでは作れませんでした。

「電圧増幅」、「電流増幅」、「スイッチング回路」の3つの機能により、コンピューターに必要な全ての回路を製作することができます。黎明期のコンピューター(ドイツのZ3、イギリスのColossus、アメリカのABC,ENIACなど)は真空管式のコンピューターでした。極端に言えば、トランジスタが発明されなくても、現代のような文明社会を構築することは可能と言えるのです。

真空管は電球から発展したものなので発熱するフィラメントを持ち、ガラス管を使っていましたので、膨大な電力を必要としていましたし、数千時間の寿命がありました。もちろん回路全体のサイズもひと部屋分位の大きさが必要でした。

※wiki解説、ENIAC

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そのため、コンピューターの性能を上げるために、「長寿命」「低消費電力」のスイッチング素子の登場が求められることになりました。トランジスタ(個体増幅素子)の発明は、偶然の突然変異ではなく「こういうものが欲しい!」という切実な必要から生まれたものなのです。この状況は、青色LEDの発明と少し似ていますね。

三極管増幅器は、各電極の物理的な形状や真空管を移動するという特性から、増幅器として使用した場合に、0.1パーセント以上の歪み(原信号とのズレ)を生じます。これは、原信号に対する「倍音成分」として、音色に「深み」「艶=つや」を出すことになります。これが、真空管アンプや、真空管エフェクターの音にマニアが惹きつけられる理由となっています。真空管アンプや真空管エフェクターは21世紀の現在でも製造され、使われ続けています。

日本の楽器メーカーKORGは2015年に、蛍光表示管を製造しているノリタケ伊勢電子株式会社と共同開発した、寿命3万時間の新型真空管NuTubeを発表しています。KORGでは、NuTubeを使用した製作キットの提案も行っています。

※NuTube紹介ページ

Screenshot of korgnutube.com

 

※NuTekt紹介ページ

Screenshot of www.nutekt.org

 

3極管増幅器は、やがて個体増幅素子トランジスタ、IC集積回路へと繋がっていく重要なステップでした。トランジスタを正しく理解するためには、どうしても3極真空管の内部構造を理解する必要があります。文系理系、専門分野に関係なく、シンギュラリティの時代を能動的に歩んで行くためには是非とも習得して欲しい基本知識です。