中央アフリカがビットコインを法定通貨に

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中央アフリカ共和国の大統領府は、法定通貨として暗号資産ビットコインを採用したと発表しました。中米エルサルバドルに続いて2カ国目です。

※参考記事

エルサルバドルがビットコインを法定通貨に

※中央アフリカ政府HP

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同国は、アフリカ大陸中央部に位置し、国土面積は日本の1.7倍、人口は450万人、GDPは23.0億米ドル(2020年、世銀)で、一人当たりGNI国民所得は510米ドル(2020年、世銀、約6万円)ということです。ちなみにアメリカのGDPは22兆ドル、中国が16兆ドル、日本が5兆ドルなので、アメリカの約1万分の1の経済規模になります。

同国は今まで周辺6か国と共同してCFAフラン(中部アフリカ諸国中央銀行BEAC発行)を法定通貨としてきましたが、これにビットコインを「追加」した形です。既存通貨に「追加」する方式は、エルサルバドルと同じです。

ナムシオ大統領首席補佐官は「トゥアデラ大統領はこの法案を支持している。なぜなら国民の生活状況を改善させるからだ」と語ったということです。確かに、一人当たり年収6万円であれば、僅かでもビットコインを所持して、それが値上がりして、例えば年間6千円のキャピタルゲインとなれば、国民全体が豊かに、可処分所得が増えることになります。ビットコインは2009年に始まって僅か10年ほどですが、「暗号が破られないこと」、「毎年価値が上がり続けていること」、この2条件が連続して守られています。

暗号強度

暗号強度に関して言えば、ビットコインで使われているsecp256k1という256ビット楕円曲線公開鍵暗号は、128ビット共通鍵暗号、3072ビットRSA(素因数分解)公開鍵暗号と同レベルの暗号強度を持つとされ、世界最速のスーパーコンピューターを使っても10の15乗年以上、つまり1000兆年以上解読までに掛かると見積もりされています。

これは普通のスパコン、普通というのも変ですが、従来型コンピュータの話で、量子コンピュータが実用化されれば事情が変わってくるのですが、それも現時点では遠く離れた開発段階にあります。

価値の上昇

「価値の上昇」についていえば、ビットコインの総発行量は2100万BTCと一番最初のホワイトペーパー及びbitcoin-coreというソフトウェアに定義されており、誰かの個人的な決定で動かすことはできない仕組みになっています。

「生身の人間がやっている普通の国の普通の法定通貨」であれば、昨今の先進国の中央銀行のバランスシートを見ても明白な通り、景気減速懸念とか、コロナ危機とか、ウクライナ危機など適当な理由をつけて無限に量的緩和策が実施されており、「未だかつてインフレを回避できた法定通貨は存在しない」という経験則の反射効果として、ビットコインの価値が上昇し続けているのです。

  • オーストリア学派の経済学者フランツ・ピック「価値を維持できる通貨は存在しない」
  • フリードリヒ・ハイエク「歴史とはインフレの歴史と言っても過言ではない。」

つまり、特定の管理者を持たず、ピアツーピアネットワークにより運営されるビットコインは、マネーサプライを無限に増大させて利益を得ようとする政府や中央銀行が存在しないために、歴史上初めてインフレを回避できる通貨になる可能性があるのではないかと考えられているのです。

邪魔なビットコイン

政権運営者の立場で考えれば、自由に通貨を発行できない(通貨発行益の無い)ビットコインは邪魔な存在です。歴史上全ての政府は、紙幣を発行すること(硬貨の改鋳、減価)によって政策課題を解決しようとしてきたのです。ですから、中国やインドのように暗号資産を規制しようとするのが普通の政府の在り方になります。自由主義経済で、経済取引の自由を全面的に認めている国では、暗号資産の取引も規制することができません。マネーロンダリング禁止などの規制があるだけで、原則自由です。でも、政府として積極的に法定通貨に組み入れたりはしません。法定通貨にするということは税金の納付をビットコインで受け入れることを意味します。

ですから、このような普通の政府の態度ではなく、暗号資産を法定通貨に加えるということは、普通の状態ではないので、経済的に困っているので、「窮余の一策」として、苦し紛れの勝負手として、暗号通貨の採用をしていることになります。エルサルバドルも中央アフリカも経済困窮国です。

それでも、れっきとした国連加盟国が法定通貨にビットコインを加え始めたことは驚きに値します。政府が制御できないピアツーピアネットワーク上の単なる「データ」を通貨として認めているのです。この流れが、もう少し経済規模の大きな国にも広がっていくかどうか、要注目です。


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