Wu, H., Wang, Y., Xu, Y. et al. The field-free Josephson diode in a van der Waals heterostructure. Nature 604, 653–656 (2022). https://doi.org/10.1038/s41586-022-04504-8
磁場の無い状態で超電導ダイオード動作をするジョセフソン・ダイオードの実験に成功したとする記事がnature 2022年4月23日号に掲載されました。
超電導のダイオードということは、世界最高性能のダイオードということであり、エネルギーハーベスティング(環境発電)に応用できるデバイスということになります。
※参考記事
太陽電池パネルもダイオードです。太陽光に励起された自由電子を貯めたり使うことができるのです。それと同じように、環境磁場などを取り出して利用できるようにするのが超電導ダイオードです。
※arxiv 論文 Realization of the field-free Josephson diode
https://arxiv.org/ftp/arxiv/papers/2103/2103.15809.pdf
引用開始—
常電導状態での接合電圧は1.6mVであるのに対し、超電導状態での測定電圧は4×10-7V(当社装置の検出限界値)以下であり、今回実証したダイオードの整流比は少なくとも1万倍である。
引用おわり—
普通のpn接合ダイオードのVFは最低でも0.4とか0.5Vとか必要ですが、このジョセフソンダイオードは1.6mV=0.0016Vで動作してしまうようです。驚くべき低電圧動作です。ほんの少しの環境磁場があれば発電できてしまうでしょう。光(電磁波)だったら「真っ暗」でも発電するような超高性能太陽電池を作れるかもしれません。
エネルギー革命は、どこからやってくるか分かりません。SiC半導体やGaN半導体などのスイッチングデバイスだけでなく、ジョセフソンダイオードのような信じられないような高性能デバイスが実現されちゃう可能性があるのです。その実用化の手前で、研究室の実験報告などを読んで「これは凄いぞ!」と驚けるように、普段からアンテナを広げておく必要があります。また、論文の読解力を高めるために半導体電子工学の知識も日々勉強する必要があるでしょう。
コメントを残す