スモールステップで宇宙論cosmologyを学ぶ話です。
コスモは宇宙のほかに全世界という意味もあり、英語のcosmologyのニュアンスには「世界観」という意味も含まれています。宇宙論を学ぶことは世界観を確立することでもあります。世界観はシンギュラリティ対策にも必要なものです。
晴れ上がり時の宇宙は1000万光年
量子コンピューターを学ぶために、量子力学と宇宙論を勉強しており、ビッグバンと「宇宙の晴れ上がり」も勉強しているのですが、どうして宇宙が晴れ上がった時の宇宙の大きさ(直径)が1000万光年ほど、とされているのか、ずーっと分からなかったのです。
ニュートンムック、インフレーション、パラレル宇宙論
でも、このニュートン別冊の58ページの晴れ上がりのイラストを見て「分かってしまった」のです!
1922年にアレクサンドル・フリードマンが一般相対論の帰結として宇宙が膨張するというフリードマン方程式を提案し、1927年にジョルジュ・ルメートルも宇宙の膨張を提案し、1929年にはセファイド変光星を用いた観測と計算によりエドウィン・ハッブルが宇宙の膨張(赤方偏移)を論文で発表しました。
宇宙が始まった時、膨張を開始しましたが、最初は陽子と中性子と電子が超高温でバラバラのプラズマ状態になっており、光子も誕生したのですが、光がプラズマに邪魔されて真っ直ぐ進めなかったので、その光を現代の我々も観測することはできなかったが、宇宙が膨張して温度が下がって約3000Kになったころ、原子核(陽子)と電子が結合して水素原子が出来て、光が真っ直ぐ進めるようになり、現代の我々からもCMB(cosmic microwave background)として観測できるようになった。この理屈はガモフらによって1940年代に予言され、1964年にベル研のペンジアスとウィルソンによって初めて観測されました。
この3000Kというのは、水素原子核(つまり陽子)と電子が引き合う電磁気力と電子の運動エネルギーがちょうど釣り合う温度、つまりプラズマ状態が解消されるギリギリの温度ということになります。陽子と電子が結合して中性子もできて、水素原子の他にヘリウム原子も出来ました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ビッグバン元素合成
この時の宇宙は、全ての宇宙の質量が75パーセントの水素原子と25パーセントのヘリウム原子になっていたとされています。それが球形の宇宙にびっしりと埋め尽くされている状態と考えることができるし、水素原子・ヘリウム原子の大きさと、全宇宙の元素量から水素原子・ヘリウム原子に換算した個数を計算して、これをかけ算すると、当時の宇宙の体積、つまり大きさが割り出せるというわけなんですね!その計算をやると、宇宙の大きさは1000万光年になったということなんです。1000万光年ずーっと水素原子やヘリウム原子に満ちているとは途方もない空間です!そして、それが重力で押しつぶされずに膨張し続けてるなんて、もの凄い斥力=膨張エネルギーが働いていたものだなあと思います。
ちなみに、こちらの本の64ページでは、宇宙の晴れ上がりは宇宙誕生後37万年後で、その時の宇宙の大きさは、半径4100万光年とされています。直径だと8200万光年で、上記の直径1000万光年と8倍ほどずれていますが、10進数で1ケタもずれてませんから、まあ、誤差の範囲内ということなのでしょう。
宇宙の年齢
宇宙の年齢は138億年と言われていますが、この年齢は、宇宙の晴れ上がり時の温度3000Kと、現在の宇宙背景放射2.7Kの、膨張倍率と、現在の膨張速度から逆算して両者の間に流れた時間を計算することができます。
宇宙の晴れ上がり時に直進し始めた光(CMB)の強さは、一番最初に観測された時は一様に見えましたが、その後の観測で10万分の1程度の微妙な強弱(ゆらぎ)を生じていたことが分かりました。その、宇宙背景放射の温度ゆらぎの大きさは、宇宙の晴れ上がり時の水素原子やヘリウム原子の大きさを起源とするので実際のサイズが分かっており、観測された黒体放射温度と、晴れ上がり時の温度3000Kの差から、見かけのサイズも計算できるので、これを地球から見た時の視野角を使って三角測量すれば、背景放射面から地球までの距離が分かり、晴れ上がりからの時間も計算できるというわけです。
管理人の解釈ですが、晴れ上がり時の各原子の温度むらの起源は、プラズマ状態が解消された時の原子核と電子の距離の違いになると思います。再結合時の陽子と電子の距離の違い=ポテンシャルエネルギーの違いが、運動エネルギーの違いになり、それが温度の違いになったという訳です。
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