バイオマス発電と言えば、生物資源からの産生物を燃やしたりガス抽出したりする発電方法ですが、今回あらたに、水素産生細菌が発見され、燃やすのではなく燃料電池で直接発電できる可能性が出てきました。燃やしませんので、二酸化炭素の排出も削減することができます。
キノコ発電
静岡大学グローバル共創科学部の平井浩文教授の研究グループはキノコの仲間である「白色腐朽菌」が、木質バイオマスを原料に、好気的に「水素」を産生していることを、世界で初めて発見しました。
【研究のポイント】
・白色腐朽菌の多くが、木材腐朽時に水素を産生していることを発見した。
・特に産生能が優れていたTrametes versicolor K-41株(カワラタケ)の水素産生特性を調査した結果、好気的に水素を産生していることが判明した。
・本菌による水素産生経路を解析した結果、有機酸であるシュウ酸・ギ酸代謝系と共役して水素を産生していることが推測された。
これはキノコの仲間である白色腐朽菌が、木材腐朽時に好気的に水素を産生していることを、世界で初めて発見した報告です。2023年6月27日に、Frontiersの発行する国際雑誌「Frontiers in Fungal Biology」に掲載されました。
水素は燃焼しても水にしかならないことから、「次世代燃料の筆頭格」として注目されていますが、その製造方法は未だ定まってはいません。環境調和型水素産生方法としては、嫌気性微生物による水素発酵が挙げられますが、発酵槽を嫌気に(酸素を遮断)する必要があり、実用化の妨げとなっています。微生物を用いて水素を簡易に製造できるかもしれないという発見です。
※参考論文、微生物による有機資源からの発酵水素生産
https://www.hess.jp/Search/data/32-01-016.pdf
地中水素、天然水素
天然水素natural hydrogen, 地中水素geological hydrogen を発掘するプロジェクトも進行中です。それを掘り出すと主張している会社も設立され、出資を募っています。炭素が含まれない水素分子が自然のプロセスで生成し、それがそのまま地中に眠っているというのです。
エネルギー革命
これらの技術が実用化すると、水素が再生可能エネルギーの筆頭に踊り出る可能性もあるエネルギー革命になります。もう、太陽光発電とか、風力発電とか、水力発電とか、核融合の研究とかも、やらなくて良くなってしまうという驚きの萌芽です!コストの問題もありますので流動的ですが、有力な候補が現れたということです!
エネルギー革命は、エネルギー価格が低下して、ゼロになるということです。そして、そのゼロ価格が、ありとあらゆる生活物資、当然食品にも、波及していくのです。
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