日本に来てから、大学生が一斉に就活をすると聞いて、驚きました。こんな採用方法をしている国は日本くらいです。


1989年、ポーランドの民主化と混乱を経験して、モルガンスタンレーやグーグルで人材育成や組織開発をしてきたフェリクス・グジバチさんの「ニューエリート」最後の第6章を読みました。当サイトの問題意識と非常に近い内容です。

著者のグジバチさんは、第6章「人材をめいっぱい活かす企業のやり方」で、変化の激しい時代に生き残るための、企業人事の極意を教えて下さいます。グーグル流の人材育成です。箇条書きでピックアップ致しますので各自「ニューエリート」を読んで吸収なさって下さい。

・グーグル創業者ラリーペイジは”Let’s develop leaders for the world”と繰り返し述べている。会社のためではなく世界のための人材を育成しようとしている。

・モチベーションを上げる3要素の1、「目的」=仕事に意味はあるのか。

・モチベーションを上げる3要素の2、「成長」=新しいことを学べるのか。

・モチベーションを上げる3要素の3、「自主」=選択肢が増えるのか。

・同じ価値観の人が集まってもイノベーションは生まれない。多様性、ダイバーシティは想像以上に重要性を増している。

・会社選びはネットショッピングに近づいている。ブラック企業はどんどん可視化されていく。

・新卒一括採用にこだわっているのはオールドエリート企業。勢いのあるスタートアップや中小企業はいつでも優秀な人材を受け入れている。

・既存のルートにしか生きる道はない。その思い込みこそが自分の可能性を閉ざす。

・企業の側は、新卒一括採用にこだわりすぎて優秀な人材を逃しているかもしれない。

・学歴も見た目も関係ない。人材はすべて結果で判断する。

なんと、グジバチさんは、企業の側からも、人材の側からも、従来の固定観念を解放せよと唱えておられるんですね。内定が貰えないと嘆く就活生に、グジバチさんは、「まず、今やっている就活をやめたらいいんじゃないですか。」とアドバイスしたそうです。道はひとつじゃないよと発想転換を促しているのです。考えてみれば、新卒一括採用の会社が内定を出さないということは、これはもう単純に「景気が悪い会社だ」ということを示していると思います。儲からないから採用できないのです。なぜ儲からないのか、それは「古いビジネスだから」なんですね。オールドエリートによる、オールドエコノミーというわけです。儲からない古いビジネスモデルでどんなに頑張っても無益な努力です。勢いの良いニュービジネスの分野に行った方が楽に稼げますよね。ちなみに、儲かる会社の指標はROA10パーセント超えです。

ROA、ER、PER、PBR

グジバチさんは、新卒一括採用は世界的に見て珍しいことだと述べています。日本でもやがて無くなるだろうと思います。21世紀の子供たちは、それが無くなることを前提に、学業を修め、キャリアプランを練るべきでしょう。自分自身の興味が持てる分野で、世界や社会から求められている仕事を嗅ぎ取って、その世界に漕ぎ出してゆくという考え方が必要だと思います。自分とは何か、自分は何がしたいのか、今世界はどうなっているか、世界はどの方向に進んでいるか、その問いが結構大事になってきます。

本を読み終わって、非常に感銘を受けました。「ニューエリート」というのは、従来の既成概念からみると、エリートじゃないんですね。普段着で変な事を語る人物は、とてもエリートに見えないですから。

でも、これからの時代は、そういう人物が世界を変える人材になりますよと言っているんです。グジバチさんは、グーグルのスーパーニューエリートを見てきたので、そういう世界を変えるようなイノベーティブな人材を目指しましょう、世界を変えましょうと述べておられるのですが、読んでいて「でも、凡人はどうすればよいのか?」という疑問が湧いたことも事実です。

この問題に対するひとつの考え方は、「ニューエリートとはどういう人かを知り、自分が最も相性の良いと考えるニューエリートを手伝ったらどうか?」ということですね。そして、キャリアを重ねるうちに自分でリーダーシップを取れると考えたら独立するなどして組織を引っ張っていけば良いのかなと思いました。そのような21世紀の時代の新しいキャリアプランやキャリアデザインを、21世紀の子供達は持つべきでしょう。

旧エリートとニューエリート

旧エリートニューエリート
固定化された地位持続的に成長する
有名大学や大学院卒業豊富な学習歴
有名会社に入り一生安泰自分がやりたいことややるべきことを追求
金融資産を保有人間関係資本や変身資産(変化を恐れない力)を保有
上からの指示に従った仕事が早くて正確新しい枠組を作る
立身出世や名誉やステータスが動機楽しいからやっている他者貢献
誇示的消費ミニマリズム(最小限主義)
同窓会などの限定ネットワーク多様性に富んだ交友関係
スーツ姿wear something
計画主義学習主義
勤勉情熱
服従率先
安定ムーンショット(大ホームラン)
会社に仕える依存する会社をうまく活用する
グーグルの人材開発のリーダーを務めていたピョートル・グジバチ氏が「ニューエリート」という本の中で紹介した両者の違い。

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