哺乳類の遺伝子ドライブ

青野由利、ゲノム編集の光と闇

例の中国の遺伝子編集ベビーの件も紹介されているタイムリーな本なのですが、初版本の192ページに「哺乳類の遺伝子ドライブ」という単語を発見し、目が釘付けとなりました!ああ、そうか!そうだよね!できちゃうよね!

ということで、闇の部分は2つ紹介されているのです。

その1、ヒト受精卵の遺伝子編集。これは遺伝子編集ベビーが誕生し、その遺伝子が次代以降に受け継がれて行きます。遺伝子編集のオフターゲット(誤編集)問題がありますので、産まれた赤ちゃんやその子孫にどのような不利益があるか未知数となり、倫理的に大きな問題点があるとされます。

その2、ヒトに対する遺伝子ドライブ。ヒト受精卵の遺伝子編集を行い、「クリスパーキャス9の遺伝子」を導入することにより、次世代以降の遺伝子も強制的に編集してしまう。この編集内容次第により、種全体の遺伝子を操作できるが、それをヒトに適用したらどうなるのだろうか。

「受精卵に対してクリスパーキャス9を使ってクリスパーキャス9の遺伝子を組み込む」という恐るべき発想により、これから先、全ての生物に対して予測不可能な大変革が起きかねない状況が出現しているわけです。この遺伝子編集が高校生でも実施できるような非常に簡易な技術となっており、「哺乳類ドライブ」が起きてしまうことは時間の問題と言っても良い状況です。何と言っても、中国の遺伝子編集ベビーみたいに、密室で秘密裏に実行されたら誰も止めることはできないですね。殺人事件すら珍しくない人間社会ですから、いくら規則で規制しても、こっそり哺乳類ドライブをやろうとする人物やグループや国家が現れても何の不思議も無いということになります。核兵器や化学兵器よりも大幅に敷居の低い技術なのです。

その他、クローン技術を使った絶滅種の復活実験や、マンモス復活プロジェクト(マンモファント)、ネアンデルタール人復活プロジェクトなども紹介されており、従来の想像を超えた発想が現実化しつつあり非常に考えさせられるテーマだと思いました。また、クリスパーキャス9の働きなどを説明するイラストが著者のオリジナルと思われますが手作り感満載でとても楽しいものでした。

遺伝子工学は子供達の将来の仕事分野として有望ですが、同時に生命倫理や宗教観についても鍛えておく必要があるでしょう。よく駅前などで「仏教の勉強会があるから一緒に来ないか」と勧誘を受けたりしますが、そういうときには「私は原典を自分で読んで考えるから関係無い。私はお釈迦様と直接に対話する。」と即答できるようにしておきたいものです。

 

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