6ナノプロセスのスマホが来年発売される件

https://www.tsmc.com/tsmcdotcom/PRListingNewsAction.do?action=detail&newsid=THWQWQTHTH

台湾の半導体製造TSMC社のHPを見ていたら、今年4月に6ナノプロセスの記事が載っていることに気付きました。

---プレスリリース概要はじめ

TSMCのN6プロセスは、現在リスク生産中のN7+テクノロジから得られる極端紫外線(EUV)リソグラフィの新しい機能を利用することで、N7プロセスより18%高いロジック密度を実現する。同時に、そのデザインルールはTSMCの実績のあるN7テクノロジと完全に互換性があり、その包括的なデザインエコシステムを再利用することができる。その結果、新しいテクノロジ製品による製品のメリットを享受するための非常に限られたエンジニアリングリソースで、高速なデザインサイクルタイムでシームレスな移行を提供できる。

2020年第1四半期にリスク生産が予定されているTSMCのN6テクノロジは、コストパフォーマンスに優れた付加価値を顧客に提供しながら、ハイエンドからミッドエンドまでの幅広いアプリケーションで7nmファミリの業界最先端のパワーとパフォーマンスを拡張する。モバイル、コンシューマアプリケーション、AI、ネットワーキング、5Gインフラストラクチャ、GPU、および高性能コンピューティングなど。

TSMCのビジネス開発担当副社長であるKevin Zhang氏は、次のように述べた。「7nmテクノロジが広く成功していることを基盤として、今日では確立された設計エコシステムを活用することで、お客様が新しい製品からさらに高い製品価値を迅速に引き出すことができると確信しています。」

---プレスリリース概要おわり

つまり、7nmプロセスの技術を改良して6nmの量産に目処をつけましたということなんですね。6nmというのは、6000pm(ピコメートル)で、シリコン原子222pmの27個分です。ちょっとしたプロセスの乱れで回路が成立しなくなる、恐るべき微細化レベルです!もう実験室レベルでは6ナノプロセスが実現していて、それが来年2020年1~3月期に「リスク生産」に移行できると発表しているわけです。リスク生産というのは、顧客からの発注を待たずに自社の責任で先行投資と先行生産を開始してしまうという意味です。顧客から預かっている7ナノプロセス用の設計図をそのまま6ナノプロセスに転用して勝手に造ってしまうんですね。それで顧客から発注があったら「もう出来ています」と言って即納品しちゃうんですね。もしかしたら設計図も勝手に小改良しているかもしれません。当然、プロセスが微細化されているので、省エネ高性能なチップに仕上がっているわけです。顧客の方は、6ナノプロセス版を「新製品」として売り出して、売上アップを図ることができるんですね。

よく「ムーアの法則は限界だ」と言いますが、我々の日常生活では7ナノプロセスの製品ですら未だ浸透していませんし、6ナノプロセスも既定路線化していますから、すくなくともあと1年は続いていくということなんですね。そして、その性能は現在の我々の実感を数割凌駕しているということです。アレクサなどスマートスピーカーの受け答えが数割向上するわけです。画像認識、音声認識、意味認識が数割向上すると考えられます。

※参考書籍


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