購買力平価PPP

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購買力平価(purchasing power parity、PPP)とは、直訳で購買力同等、つまり、各国通貨の実力を物価で測定して算出した数値ということです。「物価が両国間で均一となるような為替水準が本来の為替レートではないか」、という考え方によるものです。たとえば単3電池4個が日本で100円、アメリカで1ドルであるならば、1ドル=100円が妥当な為替レートであるという考え方です。一物一価の法則を為替レートに当てはめたものです。

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この比較する物価は、「消費者物価」「企業物価」「輸出物価」でそれぞれ結果が違ってきます。それぞれの国で流通機構や、規制緩和状況や、営業効率に違いがあるからです。公益財団法人国際通貨研究所によると、2019年6月現在、消費者物価で算出された購買力平価は1ドル122円、企業物価だと1ドル95円、輸出物価だと1ドル72円ということです。日本の物流は相当に効率が悪いことが見て取れます。歴史的に見ると、実勢相場は企業物価PPPと輸出物価PPPの間に位置することが多くありました。

比較する物価を、マクドナルドのビッグマックで試算してみるという試みも行われています。イギリスのエコノミスト誌のビッグマック指数(big mac index)です。

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これによると、2019年1月時点で、日本円はドルに対して35.5%割安(円安)になっているという計算になりました。1月の実勢相場は1ドル109円前後でしたから、1ドル80円前後が妥当レートじゃないかというわけです。しかし、そもそもビッグマックの大きさは世界各国で異なりますし、政府の助成金など様々な要因で価格が変動しますので、「ビッグマック指数は1つの目安にすぎない」というのが正しい見方だと思います。

それでも、企業物価PPPの1ドル95円前後、ビッグマック指数の1ドル80円前後と比較して、現在の実勢為替相場1ドル107円前後というのは、相当に円安になっていると評価できます。これは物価以外の要素で、「円に人気がない」ということになります。何故人気が無いのか。「円を持っていても儲からない」ということに尽きると思います。日本は人口減少社会ですし、少子高齢化の縮小社会です。GDP伸び率も低下していますし、AI革命の牽引役となるような世界的ユニコーン企業も出現していません。

日本が人口減少社会であることは否定できませんので、せめて、これから世界のAI革命を牽引するような事業を日本発でやっていく雰囲気が出てくれば、円高方向に動く可能性が出て来ます。円高は輸出企業が減益するということで今まで新聞などで懸念事項とされてきましたが、一般消費者にとっては物価が安くなる良い事です。そろそろ頭を切り換えていく必要があります。一部のトップランナーに頑張って貰って、大多数の一般市民が利益を享受するというのは何らおかしな考え方ではないと思います。トップランナーの移民を受け入れ、トップランナーの教育を保護促進し、トップランナーに発明対価を与える、これらの政策を実施するだけで、円安から円高へと転換させることができ、あるいは円安を食い止めることができ、日本国民全員の生活が維持されるのです。

一般的に言われている他の為替要素も列挙しておきます。

物価・・・高いと円安

金利・・・高いと円高

経常収支・・・プラスだと円高


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