日本で普通に教育を受けて、普通に仕事をして、普通にテレビをみて生活をしている限り、アメリカで尊敬を集めているカリスマ投資家達のことは認識することができないかもしれません。彼らは1000億ドル(10兆円)以上の資産を運用し、世界に対して中小国の国家元首並の経済的影響力を持っています。ちなみに日本最大であるトヨタ自動車の自己資本が約20兆円となっています。
この本では、日本経済新聞ニューヨーク支局記者だった著者がアメリカで実際に面談したり、関係者を取材して見聞きした貴重な内容が披露されています。管理人が感じたポイントを書きますので、各自書籍を手に取って実感して下さい。
デイビッド・アインホーンの凄いところ
・リーマンブラザーズの2008年2月四半期決算書を丹念に読み、同社の空売りに踏み切り、2008年5月の講演で不正会計を警告した。当初チェリーピッキング(いいとこどり)であるとの批判を受けたが自らの信念を貫き、同社に対する批判を続け、最終的に勝利した。
・アインホーンに空売りされると必ず株価が暴落するということから、アインホーンに空売りされることを「アインホーンされる」という動詞が慣用句としてウォール街で使われるようになった。
・27歳で自分のファンドを立ち上げた。両親などの出資で90万ドルでスタート。2000年ITバブルも、2008年リーマンショックも無事乗り切って最大100億ドルのファンドに育て上げた。
デイビッド・アインホーンの教え
・「市場が日本の信用リスクを織り込むようになれば、ハイパーインフレによる通貨の急落を避けるのは難しい」
・「われわれが金に投資しているのは不測の事態に備えてのこと。FRBがコントロールを失った時にいったい何が起きるのか考えている。」と、金投資への積極姿勢を維持している。
・FRBの量的緩和策をゼリードーナッツ政策として批判した。
「ゼリードーナッツ1個なら、おいしい午後の活力源である。
ゼリードーナッツ2個は、贅沢な朝食である。
ゼリードーナッツ3個も食べるとお腹が痛くなる。
ゼリードーナッツ6個も食べるのは過食症というものだ。
ゼリードーナッツ12個は大学サークルのバカ騒ぎ。
つまり、良いものであっても沢山食べ過ぎると害悪になるということだ。FRBバーナンキ議長は我々に緩和マネーという36個目のゼリードーナッツを食べさせようとしている。そして、なぜ経済は良くならないのか不思議がっている。力強い回復ではなく、低調な動きが続いている。昨年彼は何故うまく行かないのか聞かれた時「不運なだけ」なんて言ってた。」
※参考記事、HUFFPOST2012/5/2, The Fed’s Jelly Donut Policy
https://www.huffpost.com/entry/fed-interest-rates_b_1472509
※グリーンライトキャピタルHP(アインホーンのファンド)
※アインホーンのtwitter
※アインホーンの著作「常に誰かを騙す」のプロモーションページ
なんとこれは2002年から続くアインホーンの激闘の記録になっているんですね。この勝負は2007年に一旦アインホーンの勝利を迎えましたが、闘いは続けられているのです。その闘志に驚かされます。そのような信念の強さが市場で生き残る原動力になっているのかもしれません。
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