ベストセラーになっているビジネス書です。世界的投資家ジムロジャーズによる日本人への警告書になっています。世界中どこの国でも、自分達の国の事は客観視することが難しいですから、自分達の国の問題点を外部の人、つまり外国人から指摘して貰うことは非常に有り難いことです。
ビジネス書なので買っているのは中高年が多いのですが、むしろ中学・高校・大学生の皆さんに読んで欲しい本です。なぜなら「私が日本に住む10歳の子どもであれば、一刻も早く日本を飛び出すことを考えるだろう。中国や韓国に移住した方がよほど豊かに生活できるのだから。」という衝撃的な提言が含まれているからです。日本はこれから衰退し、中国や韓国は発展していくとジムさんは見ているわけです。
管理人がドキッとさせられた文章をいくつか御紹介致しますので実際に本書を手に取ってじっくり味わってみて下さい。
- 変化というものは、ある日突然起きるものではない。世の中を揺るがす大きな出来事であっても、きっかけはほんの些細な変化だ。そうした変化は、人々が気付き口にしはじめるよりもずいぶん前から、私たちの前にいつも姿を見せている。
- 日本株をすべて手放したのは、2018年秋のことだった。予想どおり私が日本株を買った当時よりも株価は値上がりし、利益を得ることができた。そして今は株であれ、通貨であれ、日本に関連する資産は何も持っていないし、この先買う予定もない。
- 何かで成功したかったら、滅びゆくものにしがみついてはいけない。これが真理だ。世界の言葉は、これから数百年もすれば30くらいになっているだろう。もしあなたが滅びゆく言葉、たとえば日本語しか話せなかったとしたら、ビジネスチャンスを得られないだけでなく、まともな職にさえ就けなくなる。
- 日本語については、いずれ誰も話さなくなることも考えられるため、日本の子どもには必ず第二言語を学ばせるべきだ。英語でもいいが、もともと日本語は中国由来の漢字文化圏に属するのだから、中国語を学ぶことを勧めたい。
- あなたが日本に暮らす10歳の子どもだとしたら、先行きの見えない日本の大企業や公務員を目指すのではなく、農業をやることを真剣に考えた方がいい。成功を求める意味でも、安定を求める意味でも、農業は理にかなっているのだから。
- 日本のツーリズムは今後も好調を維持するだろう。歴史的な建造物や古民家、茶道や武士道の文化など、外国人を魅了するものが日本にはまだたくさんある。
- 世界経済フォーラムによると2016年の科学技術系学科の卒業生は、中国470万人、インド260万人、アメリカとロシア56万人、イラン33万人、インドネシア20万人、日本は19万人である。
どうでしょうか、日本に住んでいる日本人の立場からは衝撃的な提言ばかりですが、外国人の目で客観的に日本を観察するとこのように見えているということなのです。
国立社会保障人口問題研究所の将来推計によれば、2015年の日本の人口1億2709万人から、2053年には1億人に減少し、2065年には8808万人と予測されています。「日本語を話す人が居なくなる」というのはこれらの数字を根拠に指摘されているのです。増加傾向と減少傾向では大きな違いです。滅びゆく言語を誰が学ぼうとするでしょうか。
人口が減るだけでなく、日本社会の閉鎖性も指摘されています。成長余地が少ないため日本株に投資することは終了したというのです。ジム・ロジャーズだけでなく、日本人のファンドマネージャーの中にも「日本株は卒業した」と公言している人が何人か居られます。日本株でどんなに頑張ってもパフォーマンスがあげられないということなのです。これはつまり、日本の会社でどんなに頑張っても報われないというのと同じことです。悲しいことですが、インド、中国、アメリカを中心に21世紀の世界は回っていくと予想されているのです。
※日本の将来推計人口(国立社会保障人口問題研究所)
http://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp_zenkoku2017.asp
※参考記事
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