慶應の先生の暗号通貨紹介本読みましたが、最終章の表題に目が釘付けになりました。
「正社員は減ってないし、会社は無くならないし、電子化はそう進んでいない」
そうなんですよね、そうなんです、日本社会はそうなんです。平成の失われた30年で、日本経済が停滞した原因でもあります。日本社会の硬直性です。日本が世界に置いて行かれた原因です。日本人が封建制大好きであることの裏返しです。日本では21世紀にも封建制が続いていると言っても良いでしょう。明治維新が巻き戻されたと言っても良いのです。民族の気質はそう簡単に変わるものでは無いのかも知れません。日本人が農耕民族であることのDNAを捨て去れない限り、日本社会が大幅に変わることは無いというわけです。
しかし、世界はどんどん変わっています。世界中の天才児(gifted)は金融工学を学び、博士号を取得し、ノーベル経済学賞受賞者を誘って、暗号通貨のスタートアップを設立し、新しい暗号通貨の設計に勤しんでいます。そして新しい設計の暗号通貨でICO(initial coin offering)暗号通貨の新発売をやりますと、信じられないような莫大な金銭が流入しています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/Initial_coin_offering
世界のエリートは、公務員を目指したり、医師や弁護士などの資格を目指したり、大企業に就職しようとしたりしていないのです。日本のエリートとは目指す方向性が違っています。フェイスブック従業員の年収の中央値=年収順に並べて真ん中の人の年収は2620万円(日本経済新聞18年5月13日)ということですが、彼らはどんどん転職し、どんどん独立していきます。
1900年にはアメリカ人口の41パーセントが農業に従事していたが、2000年には2パーセントまで低下しています。21世紀にも同じような大変革が起きると予想されています。21世紀には分極化(polarization)が進行すると言われています。フェイスブック社員のような高度に専門性のある高収入の人材と、年収300万円未満の「ロースキル」職種に分かれるというのです。ロースキル職種の仕事はAI装置により代替されやすい職種でもあります。ロースキル労働者はベーシックインカム生活者=無用者階級化していく可能性があります。
このような変化は、これから先の時間軸のスパンによって見方が変わってくるでしょう。例えば、現在の50代、あと30年位生きるかも知れないと考えた場合と、現在の10代、あと70年位生きるかもしれないと考えた場合で全然違ってきます。
あと30年以内であれば、労働環境や、年金の受給関係や、物価や、金融商品のリターンなども、想定の範囲内で考えることができるでしょう。金融商品や不動産の利回りが低下したり、価値が下がるとしても、例えば2019年(令和元年)時点の半分位になっちゃうかも知れないと想定して投資すれば良いでしょう。
しかし、あと70年位生きなきゃいけないかも知れない場合は、金融商品や不動産の利回りや価値の低下が、半分程度では済まないかもしれないと考えるべきです。もう、全然別の時代が来るかも知れないのです。プランBを考えておくべきです。50年後に生き残る暗号通貨は何か、というような事項を真剣に考えなければならないでしょう。暗号通貨の仕組みを真剣に学ぶ必要があるのです。この本でも紹介されていますが、暗号通貨によって収益を上げた場合は、2018年時点では所得税法上「雑所得」の扱いとなり、既存の金融商品で認められている20パーセントの源泉分離課税の取り扱いを受けることができない状態です。暗号通貨は未だ金融商品として認められていないのです。
アメリカでも暗号通貨を組み込んだETFという金融商品の審査が滞留しています。
https://www.google.com/search?q=bitcoin+SEC
アメリカでも日本でも、未だ暗号通貨は金融当局のお墨付きが得られていないのです。インターネット上のデータに過ぎないものに金銭を投資することが、天然資源や会社株式などのように裏付け資産のあるものと同列に扱うことができるかどうか、判断が付いていないのです。主要国通貨にも裏付け資産はありませんが、それでも世界に承認された国の存立という価値の源泉があります。暗号通貨は、運営主体が不明確なこともありますし、ブロックチェーンの信頼性についても、2019年時点では実証されてきていますが、それでもやっと10年です。
ビットコインの最初のブロックには、2009年1月3日の英国タイムズ紙の「大蔵大臣は銀行を二度目の救済へ」という記事が記録されています。既存通貨への政府の介入を揶揄しているとも解釈できます。ビットコインは発行量が決められており、誰かが勝手に増やすことができないのです。
このまま永遠に暗号通貨が金融商品として認められず、ETFに組み込まれないまま何十年も時間が過ぎるとは到底思えません。21世紀の若者は、この分野への勉強を怠るべきではないでしょう。
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