ニムロッド

上田岳弘さんの第160回芥川賞受賞作「ニムロッド」読んでみました。仮想通貨を題材とした小説です。同時に、生産性革命、資本主義の限界みたいなものも描いています。「僕に買えないものなどこの世には存在しない」というほどの資産を得たニムロッド、人間の王は、原子力飛行機など失敗作の飛行機を買い集める趣味がありましたが、あるとき商人から「もう人間は、駄目な飛行機を造れなくなったんだ」と言われてしまうのです。これは生産性革命の完成を示唆しています。

さらに、「そもそも、もう普通の人間なんていないんだ。人間はすべて最後の人間になるか、あるいは死んでしまった。そしてその最後の人間たちも個であることをやめた」と言われてしまうのです。最後の人間というのは、技術革新によって得られた「寿命の廃止」技術を自分自身に施した人々のことです。これは、遺伝子編集が加えられた「ホモ・デウス」による人間中心主義の後退を示唆しています。

この葛藤が21世紀の現代人の精神の問題点を描き出したので文学作品として評価されたのでしょう。21世紀の大人達が突き当たっている大きな問題です。生産性革命が究極に達した時に、我々はどのように生活すればよいのかという問題です。

仮想通貨について勉強するときに、ブロックチェーンとかプルーフオブワークなどの技術面を学ぶ他に、こういう文学的なアプローチを試すことも役に立つのではないかと思いました。

※「生産性革命の完成」について参考書籍

ジェレミー・リフキン、限界費用ゼロ社会

※「最後の人間」について参考書籍

ユヴァル・ノア・ハラリ、ホモ・デウス下巻

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