株式会社の終焉

水野和夫さんの「株式会社の終焉」を読みました。資本主義が終わるというのですから当然、株式会社だって終わります。終わった場合、会社はどうなるのか、興味ありますよね。

有史以来、様々な組織の形態が現れては消えていきましたが、企業家が巨額資金を必要とし、資本家が高いリターンを求めるという両者の条件を満たした株式会社の形式が隆盛を誇っているのは、たかだか150年ほどのことだと言います。

こんなにも皆を熱狂させている株式会社のシステムが、歴史上は一瞬の出来事に過ぎないかもしれないというわけです。

著者は、21世紀の会社のあり方が「よりゆっくり、より近く、より寛容に」なると提言されています。利子率ゼロ、人口減少社会においては、利益もゼロになり、現金配当が廃止されることになるということです。会社と言ってもボランティア団体のようなものに変わっていくということかも知れません。

未来の会社の形態を示唆するものとして、著者は、トヨタの新型種類株式(AA型)が参考になると述べています。

https://www.toyota.co.jp/pages/contents/jpn/investors/stock/share_2015/pdf/commonstock_20150616_02.pdf

これは、5年間は換金も転換もできない非上場の株式で、当初5年間は0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%と段階的に配当が上がっていく仕組みになっているものです。5年経過後は、発行価格での換金請求や、普通株式への転換請求ができるということです。短期的な利益を求められる関係よりも、長期的な利益を共に考える関係を求めていると読むことができます。しかしまあ利子が付いていますので過渡的な形式ではあります。

「より寛容に」という21世紀の会社のスローガンは、「より合理的に」という20世紀のスローガンの対義語になります。近代に対する「中世」への回帰を意味することになると予言されています。正確には中世そのものではなく、中世的な世界に変わっていくということでしょうか。生産性革命が進展して、モノが溢れた時代ですから、豊かな中世ということになります。生活ができなくて苦しいということではなく、生活はできるけど20世紀のような成長や競争にあふれた社会とは異なる社会が到来するということのようです。

現金配当が廃止されるなら、最終的には給料も廃止されるでしょう。会社というのは結局、ボランティア活動になっていくということです。ボランティアなら、自分のやりたい仕事でないと続けられませんね。21世紀の仕事選びは、真にやりたいことを探す活動になるでしょう。もちろん今すぐではなく、少しずつ変化していくということになります。

「利益や給与に関係なく、やりたい仕事をやる」というコンセプトで思い出したのが、つげ義春さんの「無能の人」です。昔、子供の頃に読んだ時は意味が分かりませんでしたが、21世紀の仕事革命を予見した凄い本だったのかもしれません!

※参考書籍

※参考動画 amazon prime video

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