Post Capitalism

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ポールメイソン、ポスト資本主義(我々の未来へのガイドブック,2015)

ドラッカー、ポスト資本家社会(1993)

ロバートハインライン、我々のための生活(1939)

カールマルクス、資本論(マンガ版、1867年)

1739年にジェームズワットが回転式蒸気機関を発明して産業革命ののろしが上がって、封建領民が農村から都会に移動し工場労働者に転換し始めた頃から、つまり資本主義が産声を上げた時から、「ポスト資本主義」というものは常に議論されてきました。

19世紀、労働者搾取の時代は資本主義に対するアンチテーゼが模索され、20世紀、1929年世界大恐慌のころから資本主義がもたらす巨大な景気の変動を正す方策が模索されてきました。いずれにしても、資本家と労働者の対立図式、右派富裕保守層と左派貧困労働革新層の間の階級闘争の側面がありました。

しかし、コンピューターとインターネットが発明された後の21世紀、ITバブル崩壊やリーマンショックを経て金利が低下して、日本を筆頭に欧米先進国が軒並みゼロ金利、あるいはマイナス金利となった現在、資本主義後の世界を語る論説は少し趣が異なってきています。

21世紀の議論は、資本主義が強大な影響力を持つことを前提とした、批判的なもう一つの選択肢というわけでもなく、資本主義を修正するような選択肢というわけでもなく、「資本主義が現に終わりかけているという認識のもとに」新しい社会経済システムを模索する動きとなってきているのです。ここでは資本家も労働者も関係ありません。右も左もなく、全員が主要先進国のマイナス金利や原油先物市場のマイナス価格、あるいは中央銀行バランスシートの無制限拡大を目撃して、「あれ、資本主義終わってますよね?」と互いに目配せをするような状況となっているのです。

ポールメイソンの見解はこうです。

左派は資本主義がどう終わるかについて認識が間違っている。彼らは、資本主義が敗北し政府が経済統制力を取り返し市場モデル以外の生産過程を再定義すると考えてきたが、それは誤りである。

資本主義は、市場経済に出現するが従来とは全く異なる「価値観、行動、規範」に依拠する新たな経済活動に置き換えられるだろう。ポスト資本主義は、新たなテクノロジーの3つの特徴により出現するだろう。

1、情報通信テクノロジーは人々の労働の必要性を削減し、労働と非労働の境界を無くしていくだろう。

2、資本主義社会では、IT革命後は、本質的に希少ではないため、情報に値付けすることができなくなるだろう。唯一の回避策は、人工的な希少価値を発生させるために新たな独占を発明することである。

3、協同生産が開始され、従来の市場経済は無効となるだろう。

世界最大の情報製品であるWikipediaは27,000人のボランティアによって作られたもので、無料で提供され、百科事典ビジネスを消滅させ、広告業界から年間30億ドルの売り上げを奪っているのだ。

ポスト資本主義における主な論点は、「無料で豊富な商品」と、「政府と銀行が維持しようとしている私的権利や希少性や商業性」の衝突である。

ロバートハインラインは、For us,the Living というSF小説の中ですが、遺産チェックシステムというものを考案しています。資本主義を社会主義統制経済に変えるのではなく、自由主義的に改良する方法です。ちょっと難しいのですが、政府が相続人無しの遺産を全て取得し、全国民でこれを共有するというイメージでしょうか。これはCHダグラス社会信用システムと類似する考え方です。

1、銀行は借り入れをすることが認められない。

2、銀行に借り入れを認めないことにより生ずる自然発生的なデフレを補う分の貨幣だけを政府は新規に発行する。

3、政府は新規発行貨幣のみを財源として財政支出を行う。政府は過剰生産品を買い取り、過剰生産損失を回避させる。

4、政府が購入した商品は後で政府が同価で販売(または政府が自己使用)される。郵便など政府のサービス事業も売却される。政府が保有する商品やサービスの価値が、金本位制における金のような貨幣の裏付けとしての役割を果たす。

どうやら、ポスト資本主義ではGDPは拡大しない仕組みになっているようです。生産性革命が進行し、成長していって、何かにぶつかってそこで進行が止まるというような事態が予想されます。基本的に物価はデフレ方向に進むと考えられます。商品でもサービスでも、不動産でも株価でも、値惚れしてはダメということですね。あらゆる物価がゼロに近づき、労働の必要が無くなり、税金が廃止された時、人々がどのような生活や人生を歩んでいるか、考えてみましょう。

※参考記事

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