レンティア国家

レンティアとは、英語で rentier つまり賃料収入で生活する者を意味し、レンティア国家は、石油など天然資源収入(税金以外の非税収入)により運営されている国家を意味します。国家予算に占める非税収入の割合が7割を超える湾岸産油国が典型例とされています。意外なことですが、ノルウェーやロシアも非税収入が4割を超えており、一種のレンティア国家と考えることができます。

資源の少ない我が日本にとって、レンティア国家は、遠い外国の関係無い話のように見えますが、シンギュラリティとの関係では、これらの国について観察考慮することが大事です。つまり、レンティア国家では、「所得税なし」「教育費無償」「ベーシックインカム」「希望者全員公務員へ就職」など、シンギュラリティ(生産性革命)到来後に予想されている恩恵が既に実施されており、日本の将来を占う上で参考になる社会形態であると考えることができます。これらの国では、シンギュラリティの恩恵の代わりに資源収入があり、一足早く、「シンギュラリティ後の社会」が実現されていると考えることができ、レンティア国家を観察することにより、我々は、将来の日本社会を知ることができると言えるでしょう。

レンティア国家仮説というものがあります。これは、 Hazem Beblawi と‎ Giacomo Luciani の、”The Rentier State: Politics of the Middle East”によって提出された仮説で、レンティア国家において国民は、税負担をせずに様々な公的サービスを享受しているため、政府に対する政治参加要求が低減し、非民主的な体制が維持されやすいというものです。これが実際に適合しているとみられる国もありますが、それぞれの個別事情により様々な例外事例も存在します。もちろん、21世紀の国家体制ですから、できるかぎり民主的で権利や自由が確保された社会が望ましいことは言うまでもありません。このような考察は、将来の日本の民主制や基本的人権の保障度合いを考える上で大切なことです。また、国家単位でなくても、会社やサークルなど、社会の様々な団体における運営の民主度合い、透明性にも影響していくことでしょう。

参考書籍
「The Rentier State: Politics of the Middle East」、Hazem Beblawi、Giacomo Luciani
「湾岸産油国レンティア国家のゆくえ」、松尾昌樹、講談社選書メチエ

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