金融排除、金融包摂

「銀行員大失業時代」、森本紀行、小学館新書

金融排除(financial exclusion)は、銀行口座を持てず金融サービスを受けることが出来ない人々の問題を指します。銀行口座を持たない人々のことをアンバンクト(unbanked) と言います。アフガニスタンでは2017年に、15歳以上の銀行口座保有率が15パーセントに過ぎませんでした。

※世界銀行の口座保有率データ

https://data.worldbank.org/indicator/FX.OWN.TOTL.ZS

欧米では低所得層や異民族が社会的に疎外された扱いを受けることを社会的排除(social exclusion)として問題にされてきましたが、金融においても排除される問題があります。対義語は、金融包摂(financial inclusion)ユニバーサルサービスです。日本ではなかなか実感できませんが、 十分な担保・保証のある法人や高い信用力のある法人以外に対する金融機関の取組みが十分でないため企業価値の向上が実現できていない状況も生じており、「日本型金融排除」として成長機会を失わないように金融庁では改善に取り組んでいます。

※金融庁、平成28事務年度 金融行政方針概要、平成28年10月

https://www.fsa.go.jp/news/28/20161021-3/03.pdf

フィンテック革命は、従来金融排除を受けていた社会的弱者、中小企業に金融サービスの機会を提供し、金融包摂に導く機能を有します。AIT革命により、マイクロファイナンス・クラウドファンディングなど、人海戦術では成立しえなかったような金融サービスがフィンテック革命により実現可能となり、金融排除された人々を救済すると期待されています。

既存の銀行システムはフィンテック革命に乗り遅れると生き残れないと警告されています。

フィンテックには、ブロックチェーン技術や、デジタル通貨(CBDC)、仮想通貨、暗号通貨の技術も含まれます。ハイパーインフレに陥ってしまった国では、現地通貨の価値が著しく毀損されてしまうため、人々はデジタル通貨への資金逃避を行うことがあります。アフリカの奥地でも、近所に銀行が無くても、クレジットカード会社のサービスを受けることができなくても、スマホがあればデジタル通貨のデジタル決済を利用することができるのです。

※参考書籍

 


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